掘り炬燵を片付ける

 さわやかな風が吹き抜ける一日だった。燃えるゴミを出す日なので、朝早く束ねた剪定枝を出したり、散らばっている枝を掃き集めてゴミ袋に入れたりした。裏庭の柿の木は目立たない花をいっぱい咲かせているが、この時期、花と葉っぱをぱらぱらと落とす。竹ぼうきで掃きよせてゴミ袋に入れた。庭掃除をしながら、蔓延っているドクダミを引っこ抜いた。十字形の可憐な白い花を咲かせているがあまりに多いのでしかたない。
 庭でのひと仕事を終えて、少し休み、こんどは掘り炬燵の片付けをした。五月に入ってから炬燵は多分使っていないと思うが、雨の日は肌寒くなるのでなかなか片付けられなかった。今日こそ、と思った。老犬ももこはわたしのすることを興味しんしんで見ているが、そばにいると掘り炬燵の中に落ちそうなので気になって作業ができない。ももこを別の部屋に入れて障子を閉めた。
 一昨年は柴犬レオがいる時に掘り炬燵を片付けた。レオが掘り炬燵の中に落ちてしまい、半狂乱になった。さらに炬燵布団の上に粗相をした。このことがきっかけとなって炬燵を片付けたのである。昨年、レオもももこもいない家でどんな気持ちで炬燵を片付けたのだろう。
 炬燵を片付けると、暑い夏が近づくような気がする。
 夜になり、ももこをトイレのために外に出した。ももこは道路に出る前、庭の通路で用をたした。家の前を少しだけ歩いて、ほとんどすぐ家に戻った。西の空に三日月が見え、その近くに大きな星が輝いていた。