世田谷美術館へ

 台風の影響もあるのか、暑さがやわらいだ。朝早く、庭を眺めていたら地面に置いた赤レンガに水玉模様が・・・・・・。雨だった。雨の糸が見えるような静かなささやかな雨はすぐ止んだが、灼熱の暑さの(ひとまずの)終わりを感じた。
 暑さがおさまり、少し元気になったので午前中、車で世田谷美術館へ。環状八号線がすごい渋滞で、時速10キロメートル未満がずっと続く。東名高速の入口あたりになって、やっと車が動き出したがもう美術館である。
 「ボストン美術館 華麗なるジャポニズム展」は、浮世絵や工芸品など日本の美術作品と、それらに影響を受けた欧米の芸術家の作品を展示している。特に、喜多川歌麿安藤広重葛飾北斎の浮世絵に触発された欧米の画家たちの絵画が目をひいた。日本の伝統的な文様や浮世絵などを装飾的に使ったインクスタンドは機能的というよりデコラティブで、その日本趣味に驚嘆した。
 夏休み中ということで、小中高生の姿も多かった。ノートを手に持ち、熱心にメモリながら歩いている。学芸員によるレクチャーを受けているグループもある。最初は周りの人たちが気になったが、展示作品に没頭すると全然気にならなくなった。
 エドヴァルド・ムンクの「夏の夜の夢〈声)」。歌川歌麿の「名所江戸百景 愛宕下藪小路」の構図に影響を受けた。浮世絵は前景の木立の縦の線が目立つ、奥には海が広がり、その手前に格子がある。ムンクの絵も、木立が何本もある林の向こうに海がひろがり、月が出ていて海面に月光が帯状に光を映している。林の中に女性が立っている。白夜に近い北欧の夜だろうか。不思議な雰囲気の絵だ。
 ゴッホの「子守唄 ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人」。迷いのない色、迷いのない線がひとりの女性の存在感を浮き彫りにしている。背景の菊の模様は、浮世絵の影響によるもの。
 印象に残った作品はたくさんあるがこの辺で・・・・・・・。
 帰りは渋滞に巻き込まれることなく、スムーズに帰れた。