朝顔が咲き初める

 早朝は小雨が降っていた。雨の中、フード付きのパーカを着て庭の掃除を簡単にし、桃の剪定枝を束ねたりした。金曜は燃えるゴミの日なので、いつものことである。
 朝起きるとメダカの餌をやりつつ、駐車場まで出るのが日課だが今日はうれしいことがあった。蔓を盛んに伸ばし、葉を茂らせていた朝顔がついに花を咲かせたのである。赤紫色の花と、牡丹色に白い覆輪が入った花が2つ咲いた。朝顔が咲く夏が始まった。そんな気持ちになった。
 一昨年の夏、造ったばかりの駐車場の横に、何も植えていない空き場所があり、日当たりがいいので何か花があるといいと思った。そのとき、朝顔を思いついた。細長いプランターに種から育てた4苗の朝顔を植え、支柱を立てて、夏から秋まで長く花を楽しむことができた。そのときは柴犬のレオがいて、朝早く起きることが多かったので、朝顔の花を見ることが毎日の楽しみのひとつになった。昨年は、レオがまだ家にいた頃に朝顔の種をまき、プランターに定植したのはレオが亡くなった後だった。
 今年は手間がかかる朝顔を育てるのはやめようかと思ったこともあったが、レオの思い出に結びついているので、同じように種を蒔いた。昨年の花からとった種と,買ってきた種を蒔いた。

 いつ死ぬかわからないこの世の暁に咲く朝顔の色、目に焼き付ける

 時間を追って雨は止んだが一日中、曇り空で気温もあまり上がらない。午後は車で図書館に行き、催促があった本を10冊ほど返し、そのうち2冊を借り直し、新しく2冊を借りた。詩人の高橋順子さんが書かれた『風の名前』と『月の名前』である。月の名前という本の最後のほうに2012年から2062年までの中秋の名月の日にちが記載されている。これによると2014年は9月8日が中秋の名月である。ただ、今年の中秋の名月は完全な満月にはならないようだ。秋のお月見シーズンは、8月10日の盆の月から始まり、クライマックスの中秋の名月を経て10月6日の十三夜まで続くとある。今年は8月からお月見をたっぷりと楽しむことにしよう。
 レオがいた2012年は中秋の名月が9月30日。その日、レオとわたしは何をしていただろう。