明治神宮の歌会に行く

 晴れてさわやかな風が心地よい日曜日。朝早めに起きて、植木鉢に水やりした後、沈丁花の枝先を切って、挿し木にした。弱ってきた観葉植物〈ドラセナ)の上の部分を切り取り、こちらもさし芽した。
 庭仕事をしているうちに時間が過ぎるのを忘れ、いつもより遅い時間に家を出て、明治神宮に向かった。神宮の森は楠の新緑がきれいで、細かい粒粒が盛んに舞い降りてくる。楠の花は5〜6月に咲くということだが、この舞い落ちてくるものはいったいなんだろう。風に乗り顔に向かって落ちてくるので、顔をそむけたりした。
 今日の歌会の当座は『ひらく』。講師は新しい先生で女性の方だ。アルバムをひらくという短歌がいくつかあり、故人を歌った心に染み入る歌が印象に残った。今回は生徒さんの人数が多く、昨年から比べると三割増しくらいだ。年が明けてから、生徒さんの人数が漸増してきたが、この4月がわたしがここに通うようになってから一番人数が多い。
 先生のお言葉で印象に残ったこと。「きれいなものを歌うとき前後の言葉を抑えると引き立つ」きれいなものを歌うとき、きれいな言葉だけを連ねるのでなく、いちばん伝えたいことば以外は抑えめの表現にするとよいということだろう。「短歌は少し抑え気味にした方が人に伝わる」「言葉の省略や、意味の飛躍によって、伝えようとする世界がひろがる」これは伝えたいことをぜんぶていねいに説明するのでなく、ときには言葉を省いたり、上の句と下の句の間に飛躍があることで、歌の世界がひろがるということだろう。また、さらっと言った言葉を一度見直して、違う言葉で表現したらどうなるかという推敲が、歌をより良いものにするために大切と教わった。
 この会に来られる方のレベルの高さに感心する。よく選ばれる方は言葉が練れていて、感嘆する。


 わたしのつたない歌をいくつか・・・・・・・・
「意味不明のことばまき散らす女あり薫風切って山手線走る」
「紡錘形のつぼみひらくクレマチス遠慮がちに光を浴びにき」
「老犬は家具の角にからだぶつけ目を見開いて痛み訴えにし」

原宿駅近くの明治神宮の鳥居と楠(だと思う)

鉢植えのクレマチスが花開いた
大きなつぼみから開いたばかりの花は、花びらが開き切らず
控えめに太陽の光を浴びているように見えた