今日は明治神宮月次歌会へ

 午前中、家を出るときは桜が咲くころのあたたかさ。春の空気の中を歩いて駅まで行った。帰りは空気がガラッと変わり、寒風が吹く冬に戻っていた。
 明治神宮歌会のお題は「名前」。短歌の先生は松坂弘氏で、この題にしたのはある新聞で見つけた短歌がきっかけとなったと言われた。その短歌は「二十二で嫁ぎ還暦過ぎになるに名前で呼ばん夫に茶を汲む」。先生はこの短歌を気に入られ、今月のお題とし、歌会の参加者がどんな歌を詠むか楽しむと言われた。
 親が名付けた自分の名前への親の思いを詠んだもの、外出先で知人に会うが名前を思い出せなかった体験を詠んだものが多いように思う。下宿屋さんの二階に上山君が間借りして,一階の大家さんが下川というといった遊び心のある短歌もおもしろかった。亡くなった犬の名前は覚えているのに、息子には何方?と言う施設にいる母親のことを歌った短歌は身につまされると同時に、なんかわかるような感じもした。わたしも最後まで愛犬のレオの名前は忘れないだろう。
 わたしが作った短歌はこんな感じ。
 
 亡き父が植えた名無しの木、名前を告げるようにつぼみをつけたり
 帰宅のたび亡き愛犬の名を呼び「帰ってきたよ」と話しかけたり

 上の短歌が今日の歌会で提出したものだが、先生はわたしが詠もうとしたこととは違う解釈をされた。だが父親への思いが伝わるいい歌と言ってくださった。


 歌会が終わり、外に出ると冬に戻っていた。冷たい風に背中を押されるようにして原宿駅に向かった。今日の歌会は最後に、昨年度の歌会にぜんぶ出席した方、作品が選ばれ高得点を獲得した方の表彰があり、時間が伸びたので、門が閉まる時間が迫っていた。明治神宮は4時半に門が閉まるのだ。
 原宿の竹下通りの先にある渋谷区中高図書館に寄り、家路についたが駅からの帰り道で柴犬と飼い主さんのほほえましい光景を見かけた。お座りした柴犬に、飼い主さんがしゃがんでおやつをやっている。柴ちゃんはおやつひとつごとにお手をしている。飼い主さんがわたしの話かけに応じて手を休めると、何回もお手をして催促している姿がかわいらしかった。元気な頃のわが柴犬レオとの散歩を思い出した。やはり、散歩の楽しみのひとつがおやつだったから。
 

ボール遊びに夢中の柴犬レオ
2006年1月、8歳のころ