雨の土曜日

 昨夜は珍しく夜中に目が覚めた。ケイタイを見ると1時過ぎだった。すぐに眠れないでいると、16才と2ヵ月半で他界した柴犬レオの最後の時も、ちょうどこの時間に、レオの泣き声で目を覚ましたことを思い出した。あの日のレオは結局朝まで様子がおかしく、行きつけの動物病院の診療がはじまる時間になってぐったりして意識がなくなったレオを病院に車で連れて行った・・・・・・。こんなことを考えていると眠れなくなったが1時間くらい起きていて眠りについたようだ。
 次に起きたのは朝6時前だった、変な夢を見た。5年半あまり前に亡くなった母が出てきた。母は夢の中で、知人の家に居候していて、その家をわたしが訪れる。家の前に植え込みがあり、まわりにも木々がある家で、中に入ると光があふれていた。奥に出窓があり、そのそばにテーブルと椅子が置いてある。部屋の中に母はいたが、何か話したという記憶はない。なんで母が住んでいた家がそのままあるのに、こんなところにいるのだろうと夢の中で思うが口には出さなかった。母と話したのは、家の前の植え込みをなぜかわたしが引っ張ってしまい根が抜けたので、母に相談すると、見えないところに隠して置けばいいといわれた、この会話だけだ。
 目が覚めて、いまだに心の奥で母はどこかにいると思っているのだろうかと不思議な気持ちになった。
 昨夜目が覚めたときにも雨が降っていたが、その雨は降り続け、雨の庭にメダカに餌をやるために傘をさして出た。メダカがいる甕やガラス瓶は3つあり、ぜんぶにえさをまいた後、家の前の道路に出ると、雨の日、12歳の柴犬レオを抱いてタクシーに乗り、動物病院に行った日のことをを思い出した。あのときは朝から様子がおかしく、ぐったりと横たわっていて、いつもなら外に行こうとするのに、起き上ろうとしなかった。ときどき、身体を起こそうとするがふらふらして立ち上がれなかった。病院に行き、診察を受けると高熱があり、解熱剤と抗生物質を注射と点滴で投与した。血液検査の肝臓の数値が悪く、白血球の数値も異常に高かった。
 点滴をしながら病院に数時間いた後、レオの様子がだいぶ落ち着き、歩けるようになったので処方された薬を受け取り、タクシーで家に帰り、夕方も少し外を歩いたように記憶している。翌日、獣医さんから家に電話があり、たまたまわたしが庭に出ていてたため、父が電話をとり、レオの状態が良くなく長くないかもしれないと言われた。
検査の結果が出るのに時間がかり、1日遅れでわかった炎症反応の数値が尋常でなく高かったのだ。CRTという数値だったと思う。父がわたしに「できるだけのことをしてあげるんだよ」と言ったのをおぼえている。
 幸いあのときのレオは抗生物質の服用で熱も下がり、少しずつ回復して、大事に至らなかった。ただ、ガクっと体力が落ちた。病気になる前までは、2階への階段を軽やかに駆け上がっていたのに、その後は一度だけ2階に上がったがそれ以降は2度と階段を上らなかったし、あれほど好きな川に入り水につかることもしなくなった。 
 あのころのレオの写真を見ると、病気前も病後も、やつれた感じが顔つきに出ていて、辛くなる。あのときももっと早くレオの不調に気づいてあげたかったと思う。高熱が出る前の1〜2カ月の間、皮膚が赤くなり毛が抜けて、身体の不調のサインが出ていたのだ。
 病後は以前より散歩の時間が短くなり、老いが加速したがその後の4年間、この家で父やわたしといっしょにいてくれたレオにありがとうと言いたい。病気になったのは2009年6月末のことである。
レオが他界したのは今年の6月半ばだったので、6月はレオにとって人生の節目となる厄月だったなと思う。


今日は雨で写真撮影ができなかったので、昨年秋のレオの写真をピックアップした
昨年10月4日のレオ


こちらは翌日10月5日のレオ
今日と違って秋晴れの日だった
木漏れ日の中、気持ちよさそうに眠っている