四十九日の準備

 8月2日は6月15日に他界した柴犬レオの四十九日。レオのお骨はお墓に納骨することなく、わが家にずっといてもらうことになるが四十九日という区切りの日をわたしなりに過ごしたいと思っている。
 レオが亡くなってからお花を持って弔問にきてくださった方に、気持ちだけのお返しをさしあげたいとも思っている。何にしようか迷ったが、シンプルにハンカチーフにした。暑い夏の最中なので、ガーゼハンカチはあるとうれしいかなと思った。
 車で玉川高島屋に行き、テリアの模様のアップリケがあるガーゼハンカチと、ちょっと気取ったブランド物のハンカチーフを選んだ。
 レオの絵をプリントしたハガキ大のカードに、ひとりひとりに向けて言葉を添えて手渡すつもり。
 玉川高島屋に行く時もバッグにレオの写真を入れて、「さあ行くよ」と声をかけてでかけた。
 四十九日の日は、レオと昔行ったことのある(犬も入れる)外にテーブル席のあるお店に行き、レオの写真とともにランチを楽しもうかと思っている。

 でかけたのは午後で、午前中は、レオが5〜7歳の頃よくいっしょに多摩川の河原を散歩したシロちゃんという紀州犬のミックス犬の飼い主さんが撮影してくれたビデオをパソコンで再生した。
 2004年11月30日と12月1日に撮影したもの。夕方の4時半ごろから5時までの約30分の長い動画だ。まだ日が残る頃から真っ暗になるまでの30分余りのビデオには、レオがワンワン吠えてシロちゃんに遊ぼうと誘ったり、シロちゃんの飼い主さんに前足でじゃれかかり、甘え声を出したり、大好きな女の子であるシロちゃんを追いかける様子や、レオなりにその都度の状況を判断しようとしている様子など、これがレオなんだと思わせる場面が多くあり、レオを大好きになった理由がわかった気がした。
 こんな柴犬、惚れちゃうよ。惚れて当然だよと思った。
 30分あまりのビデオは、どちらも車のライトや家々の灯りが光る暗闇の中、5時になったことを知らせるチャイムに合わせたレオの遠吠えで終わった。
 レオは家にいるときも、5時になったことを知らせるメロディに合わせて遠吠えをしたので、なつかしく聞いた。レオの遠吠えや、遊ぼうと誘うワンワンや甘え声をまた聞けるとは思っていたなかった。このビデオはレオがまだ元気な頃、数回見たがそのときはレオの鳴き声やレオの様子がそんなには印象に残らなかった。レオがいなくなってから見ると、映像ひとつひとつ、収録された音ひとつひとつがまったく違う重さで迫ってきた。