春を通り越して初夏?

 今日の気温は5月上旬並みらしい。老犬レオがよく昼寝をする、トイレ替わりにもしている庭に面した部屋は日差しが強く、レオははあはあしていた。
 この部屋に置いた本箱は、レオのおしっこから守るため、本にゴミ袋をかぶせて、さらに本の上に顔を入れないように、タオルケットや肌掛けを畳んではさんである。
朝ごはんを食べたレオはこの部屋でくるくる回りながら歩いていたが、しばらくするとグハグハという奇妙な音がする。異変を感じて、パソコンから離れてレオの様子を見に行くと、ゴミ袋の中に顔をつっこみ、袋が顔にぴったりとはりついている。息ができないのだ。袋はレオが引っ掻いて穴があいているが、端の方に潜り込むくせのあるレオは、袋の先端の穴があいていないところに顔を押し付けていた。
 急いで袋からレオの顔を引きだしたが、すごい顔をして、よだれをたらしている。日差しが強いのでカーテンでさえぎった。しばらくして落ち着き、日陰で眠った。
 レオの行動は予測がつかないところがある。昨日はこの本箱に並べた本の上に顔を入れて、本箱の裏側に顔が出ていた。隙間があると奥へ奥へと入ってしまう。こんなことがあったので、肌掛けを本の上に挟み込んだ。これで安心と思っていたが・・・・・ゴミ袋に顔を入れるとは!

 まだ早い夕方、同じく老犬を介護している近所の知り合いの女性が「しばらく見ないからレオちゃんがどうかしたかと思って・・・」と家に来てくれた。あたたかいので一日に数回は外に出ているが、庭にいることも多かった。
 夕方はレオとゆっくり家の前の道路や駐車場で過ごした。姪の子供がJボードを練習をしているのを眺めながら、レオの見守りをした。姪のこどもはレオが倒れると、自分も倒れ足をぴくぴくさせて、その姿をマネしたりした。どうなのかなあ。かわいそうと思わないのかなあ。
 少し年上の友だちがやってきて、Jボードに乗るコツを自ら手本を見せて教えている。だんだん上手になり、アイスクリームを食べながら、短い間なら乗れるようになった。Jボードは昔はスケボーと呼んでいたと思うが、子供たちに聞くとJボードというらしい。
 こうしているうちにとうとうレオもおしっこをしたので、そろそろ疲れる頃だろうと思い、抱いて家に戻った。

 商店街の八百屋さんに買い物に行くと、そのお店の人がレオはもういないと思っていることを知った。前はよくレオを連れて買いものに来ていたのに、ここに来なくなって1年近くになる。レオがいないと思ったのはそのためだと思う。そのときはまだいますよとさらっと言えたが後になって涙が出た。高齢になり、あまり外に出なくなるとどうしているのだろう、もうそろそろかなどと、回りの人たちは思うのだろう。レオもそういう段階にあるのか。しぶとく生きるのだよ、レオ。

夜、レオと外に出たが、夜の梅もきれいだと思った。昼間より立体的に見える、というか白い梅の花が薄明かりに浮かびあがり、迫ってくるような美しさがある。見慣れた梅の木を見直した感じで、惚れ惚れと見上げた。

古木の梅もほぼ満開になり、風に吹かれて花びらが舞い降りてくる