「春ほほえむ庭にて花と見つめ合う」

 風の冷たい日が続いたせいか、今日はあたたかく春めいて感じられた。
 老犬レオは昨深夜、1時間半余り起きて、玄関の土間に大小の用を足し、廊下に侵入して、置いてあった植木鉢を倒した。カニサボテンはこれで何回目か、根鉢がすぽっととれ、床に用土が散乱。シクラメンの鉢も倒され、花がたくさん落ちた。
 これまでも植木鉢が倒されることはよくあったが、これほど土が散乱し、花が傷んだことはなく、わたしはかっとなり、バカバカを連発、横腹をたたいてしまった。
 廊下をきれいにし、レオにお湯で薄めた牛乳を飲ませると落ち着いて眠った。その前に抗てんかん剤も飲ませていた。
 翌朝のレオは思ったより早く起きたが、部屋の隅に敷いたトイレシートにおしっこをした後、水を少し飲んでまた眠った。次に起きたのは午後1時過ぎで、レオが眠っている間、庭に出て花の咲き具合を見て回った。
 紅梅の盆栽はやっと花開いた、一重の濃いピンク色の花が愛らしい。
モモの木にの下に植えっぱなしのクロッカスがひとつだけ花開いた。白い花だ。昨年も一作年も2月の初め(立春頃)に咲いたので、今年は1週間くらい遅い。
 同じくモモの木近くに植えた日本水仙は、太陽の光を浴びて白く輝いている。水仙はつぼみがまだたくさんあるので、長く花を楽しめる。
 午後レオが起きてからはじめての食事を食べさせ、あたたかいので抱いて用水路沿いの桜並木まで行った。くるくる回りながらよろよろ歩くレオはここでおしっこ(わたしにもたれることなく、立っていた)。その後、念入りにブラッシング。通りかかった犬友だちと少し話したりして、いつもよりのんびりした後、家に帰る。
 レオの足を拭いているとき、うんちの匂いがかすかにしたので、浴室で下半身だけ洗うことにした。お腹、お尻、太ももの外側と内側あたりに泡立てた石けんをつけて、ごしごしして洗い流した。
 水分をていねいにタオルで拭き取ったが、半乾きなのでフリースを着せると、疲れたのか眠ってしまった。
 「老犬との残り少ない日に春の足音」
 昨夜は激しくレオを怒ったが、レオもわたしもそんなことは忘れて、おだやかな一日を過ごした。レオが忘れているかどうか、本当のところわからないが。