夜半過ぎは雪が降っていなかったが、いつから降り始めたのだろう。朝、いつもより遅めに起きたら、ちぎった綿のような雪が空から舞い降りていた。見上げるとその量がだんだん多くなる。
最初はうっすら雪化粧だった庭もお昼近くから午後にかけて、すっぽり雪でおおわれた。雪景色もたまにはいいと、老犬レオが眠っている部屋の障子を開けて、レオとともに雪見列車に乗っている気分をつかのま味わった。が、レオがむっくり起き、トイレの心配をしたりなど、優雅な気分は吹っ飛んだ。
これだけ雪が降ると、若い頃のレオならともかく、現在のレオを外に連れ出すのは不可能。ころんだら、雪まみれになりぐしょぐしょになりそうだから。若い頃なら、庭を走り回っただろう。道路まで出てはしゃいだはずだ。
レオのトイレは家の中でしてもらった。本人も外に行こうという気はないようだ。
新聞を取りに外に出たら、オオムラサキ・ツツジが雪の重りでしなり、地面にくっつきそうになっている。2階の軒下の高さまで、屏風仕立てにして目隠しも兼ねている乙女椿も、上の方に雪が積み重なり、ピサの斜塔よりも傾いている。分岐した細い枝だけでなく、太い幹もしなっている。しなっているならいいが、ぽきっと折れないだろうか。
天気予報によると、午後から夕方にかけてさらに降り続けるようだ。これ以上降ったら危ないかも、と思い、雪が降る中、帽子をかぶり軍手をして、園芸用の長い支柱を手に、積もった雪をたたき落した。ツツジと乙女椿だ。ツツジは背が低いので、雪をかぶることはなかったが、椿は樹高が高く、落した雪がわたしの頭に降り注ぐ。ひるまず続けているうちになんとか雪が落ち、ツツジも椿も元の姿勢に戻った。
いつもなら、わたしが外に出るとレオも出たがるのだが、今日はそんなそぶりを見せない。年老いたレオは雪が自分にとって手に負えないものだと自覚しているのだろうか。
東京では冬季でも自家用車にスタッドレスタイヤをつけることはなく(スキーに行く人などは別だろうが)、雪が降っていない頃でかけた車だろうか。車道を空回りしながら、なんとか進んでいる車を見かける。わたしは2〜3日は車を運転できないだろう。
向こうが雪の庭、
レオはストーブであたたかい
部屋でぬくぬく眠る
朝方6時ころ一度起き、また眠ったので
起きたのは午後になってから。