盆踊り大会

 昨日と今日は商店街の盆踊り大会が開催された。今年で40年くらい続いている、盛夏の恒例のイベントだ。
 老犬レオがわが家にまだ来ていないときは、母とわたしでよく行ったし、レオが来てからはレオもいっしょにでかけた。
 昨日は、まだ明るいうちから、炭坑節や東京音頭などの曲があたりに響き渡った。この曲を聴くと時間を遡るような感覚におそわれる。母は元気なときはテントの下に設けられた参列者用の椅子に座り、かなり長い間、会場で過ごした。最晩年の数年は訪れないこともあり、行ってもすぐ帰ってきた。その頃は母に変わってわたしは寄付金を持参した。
 母が亡くなった後、父が入院した夏は、夕食時に介助のため行った病院から帰ってくると炭坑節が流れていたのを思い出す。
 父母がこの世にいなくなった昨年は、レオといっしょに行った。今よりはまだ元気だったが、会場まで時間をかけて歩いて行ったのを憶えている。レオの好きな焼き鳥(たれがついていないもの)を買い、会場の隅に設けられたベンチに座り、レオに焼き鳥を食べさせた。
 こんなことを思い出しながら、今年はどうしたものだろうかとまだ明るい夕刻の庭で歩き回るレオを見ながら考えていた。今年は無理かな。疲れて発作を起こしたらどうしよう。ついマイナス思考に傾いてしまう。
 だが裏庭を大周りで歩いていたレオが、家の周囲にそって歩きだした。その足取りをみて、レオと外に行き、半分くらいはわたしが抱いて歩いたが盆踊りの会場までたどりついた(といっても家から100メートルくらいの距離)。
 会場にはよく散歩中に会う犬もいて、わんわん吠えられたがレオは負けずに飛びかかろうとした。小さなこどもはレオが気になったらしく、頭やしっぽに触ってだんだんエスカレート。大胆に鼻先にふれようとしたら、レオがぱくっとしたがこどもはめげなかった。同じ柴犬を飼っている夫婦はがんばって歩いているレオをほほえましそうに見ているし、老犬がおぼつかない足取りに歩く姿はいろいろな人たちの注目を浴びた。
 レオも会場の雰囲気に興奮したのか、元気な足取りで大周りに歩いているので、一緒に来てよかったと思った。家で食べるために昨年と同じ焼き鳥を買って、小一時間いて帰った。