繁る季節にあれこれ剪定

 急に庭の草木が葉を茂らせ、膨張したような感じがあり、名前のわからない木もふくめ、何本か剪定した。

 昨夜半、地面をつきあげるような地震があり、飛び起きたがそのとき、ドアの近くに寝ていた老柴犬レオの足先を踏んでしまい、レオが起きてしまった。そんなことがあり、朝はいつもより遅くまで寝ていた。レオは9時ころ起きて軽い発作を起こしたので、外に出した。発作が起こると排尿、排便につながることがわかってきたからだ。おさまった後、しばらく庭に放していたが玄関の前で立っているので、家の中に入りたいのかなと思い、家に入れたが、これがいけなかった。
 レオを家に入れた後、枝が伸びてうっとしい木を剪定していたのだが、終えて家に入るとレオの様子がおかしい。鼻をつく匂いがして、レオのうんちを発見!家に入った後、また発作をおこしたのだ。ひとりで心細かっただろう。最近は発作が起こるとわたしがそばにいるようにしていたので。排泄物を紙で取って、ゴミの出す日なので持って行ったが帰ってくると、こんどはおしっこをしていた!ちょうどビニールのシートをしいた所にしたので、拭いてきれいにした。
 こんなことがあったので、朝ごはんは食べないかなと思ったが、出したものは全部食べてくれた。
 その午後、また軽い発作が起こったので、レオを庭に出したがその後、しばらくうろうろ歩いていた。わたしはレオを見れる場所にいて、そのあたりの木を剪定した。名前はわからない常緑の木。太めの枝をノコギリで切った時、柑橘系の匂いがした。もしかしたら、何かの柑橘類の木かもしれない。父は実のなる木が好きでたくさん植えているが、これも父が植えた木なのだ。
 次に、隣家とのフェンス沿いに植えたヤマブキをかなり大胆に剪定した。株元から伸びた元気な徒長枝を途中からばっさり切った。これが来年、花をつける枝になるらしいが、花つきをよくする剪定ではなく、梅雨前にすっきりさせるために切っているのでかまわない。ヤマブキの選定時期は11月半ばから2月ごろまでの葉を落した時期だ。いま、剪定するのは花つきが悪くなるがしかたない。
 ヤマブキを選定しながらレオをときどき見ると、サクラの木の下を歩いていたが、剪定し終わって見ると、大きな鉢植えの横の地面で寝ていた。寝姿を見て、スケッチをしたくなり、3枚描き、一枚に彩色した。その後、剪定した枝を片付けながらレオを見ると、太陽の光があたり、毛並みが濃い赤茶色に輝いている。
 片づけを終わって見るとレオは陰になっていて、さっきの輝きは無くなっていた。そのとき、命の輝きのはかなさを思った。レオだけではない。生きているものすべての。
 こうして、一日が過ぎていった。


 夜、NHKテレビで老人医療についての番組を見た。救急車で入院し、症状がおさまると、例え歩けない状態でも退院をせまられる高齢者たち。その人たちの姿、表情に2年前の父を重ね合わせた。父もほぼ2年前の6月初め、入院し、3週間で退院し、3日だけ家にいて、また入院した。家で病人を引きうけて介護する人がいるなら、病人も家に帰りたいだろうが、いないから帰れないのだ。テレビでは1人暮らしの高齢者や、家族がいても介護できないという事情を持つ高齢者がいた。父の場合はできれば本人は家に帰りたかったし、わたしも家に連れて帰りたかったので、その意味では問題ないといえるが、ただ、できるだけ早く退院させようとする病院側の態度には、ずっと違和感を感じていた。
 救急病院を追いだされた後は、療養型の病院がある。父もここに家に帰る前に2カ月いたが、この病院のことはあまり書くのはよそう。悪口しか書けないから。というか、その病院にいる高齢者たちを見て、年をとって死ぬのも大変だなと思った。
 テレビでは在宅介護の要となる、在宅医療の実態についても取材したようだが、レオが外に出たいとアピールしたので、見ることができなかった。在宅医療を行う医院には父も2年半ほどお世話になった。もし、こういう医院がなかったら、父は家で安心して過ごすことができなかろう。


庭で眠るレオ。撮影の角度なのか、太って見えるのが不思議。体重は前は10キログラムを超えていたのが今は8,8キログラムしかない。