主なき庭に

 こちらでは春一番が吹いた。風が強く、春の訪れを実感できる一日。
 買いものに行くとき、お隣の庭に植えられた白梅が満開なのを見た。20年くらいの樹齢だろうか。きれいな曲線を描くように剪定された木を惚れ惚れ眺めたが、この花を見ていちばん喜ぶのは、今は亡きお隣のご主人ではないだろうかと思った。
 昨年の同じころ、この梅の木は一輪も花が咲かなかった。わが家の老木の梅より例年だと2週間は早く咲くのに、わが家の梅が満開になっても寂しい枝ぶりだった。
 隣のご主人は、こんなことは(花が咲かないのは)はじめて、どうしたのだろうとわたしに話しかけてきた。その日、わが家では植木職人が入っていたので、なぜ花が咲かないのか聞いてみたいと。
 ご主人と植木屋さんが話しているのを見たが、何を話しているのかは知らない、だがご主人は納得がいったようだった。
 その後、その梅の木は葉っぱが茂り、新しい枝を盛んに伸ばしたので樹木自体は元気なんだなと思った。
 いちど、枝の剪定をしているのを見た時、来年は咲くといいなとも思った。
 こうして、この春はいつものように白い花をたくさん咲かせたのだが、この木のことをいちばん気にかけていた主はいない。
 時がめぐることの自然と理不尽を感じたのであった。
 振り返り、わが家の庭の主も亡き父なのだと思った。父が庭の構造を作り、庭木を植え、育てたのである。わたしはせいぜい手入れする人という感じ。できるだけうまく手入れして、主なき庭をきれいな花や緑でにぎやかにはなやかにしたい。道行く人も見て楽しんでくれるだろう。


庭の白梅(わが家の)を写真を見てスケッチ

 午前中、老犬レオが服用している抗たんかん剤を動物病院に取りに行った。獣医師がいたので、レオの体重がどんどん減っていることを話した。もうすぐ16歳になるレオは人間でいえば80歳、筋肉も衰え、体重が減ってもおかしくない。肉類は筋肉をつくるので食べさせた方がいい、あと炭水化物もやるとよい。
 レオには肉も(わたしが食べるより多いかも)やっているし、パンやパスタなどもやっている。食事の回数を多くすることもいいといわれた。
 いま実践していることをこれからも続けるしかないようだ。
 今日のレオは朝は6時ころ起き、朝ごはんも早く食べたが、一日を通してあまり調子がよくない。ほとんど寝ていて、おしっこ、うんちとも家の中でした。
あたたかいので2回ほど外に出したが、すぐうずくまってしまうので、あまり長い時間は外にいないで抱いて家に戻った。