老犬レオの衰え

 老いていくことは急な下り坂というより、ゆるやかな下り坂で、でも確実に坂を下っていく。日常の中では元気になったり、また調子が悪くなったりしながら衰えていくということを父や母を見て知った。愛犬のレオもその下り坂の途中にあるのだが、いままで調子が悪くて歩かないなと思っても、1週間から数週間くらいたつと、調子がよくなって少し長い距離を歩けるようになったが、最近はその波の振幅が狭くなったようだ。歩けない状態が続き、調子が良くなることがなくなった。家の中にいるときはあちこち歩いているが、外では家の前とすぐ近くの用水路沿いをかなりの時間をかけて歩くだけになった。歩くというより、くるりくるりと回るので、リードで回らないように止めないと前には進めない。以前は散歩の出だしは回っていても、少し時間がたつとまっすぐ歩いていたのだが。今も部屋の中をくるくる大回りと小回りを交ぜて歩いている。
 昨夜は、厚い本が2冊くらいしか入らない狭い隙間に、レオがしっぽの先まで入り込んでしまい、仰天した。毛が生えているのでそんなに細くは見えないが、体はとても細いのだと思った。この隙間に入るか!という狭い所にも入ってしまうので、隙間に入らないように座布団やクッション、枕、その他諸々のものを隙間に置いて、防いでいる。こんなレオの相手というか、面倒を見ることに疲れて横になってぐったりしていたら、レオが近づいてきて「どうしたの」と言いたげにわたしの顔をのぞきこんだ。こんなレオの邪心のない顔つき(心配しているようにも見える)を見ると、やさしく手を伸ばして「なんでもないよ」と言ってしまう。レオはわたしがいつもと違う態度、動き、表情を見せるととても敏感に反応する。レオのためにも、いつも変らぬわたしでいたほうがいいのだが、実際は怒ったり、嘆いたり、疲れた表情を見せることになる。
もしかしたら、こういう変化がレオの刺激になるかとも思い、無理をしない範囲内で、心の平静を保つようにしたい。


ピンクの濃淡がきれいなクリスマスローズ

黄色いクロッカスも咲き始めた