オカメ桜

 傷んだソメイヨシノを伐採した後に、サクラかハナモモを植えたいと思い、ネットやホームセンターで手に入る苗木を探した。前のソメイヨシノは枝が前のマンションの庭まで伸びて剪定が大変だったので、横にあまり広がらない樹形で樹高もそれほど高くないものが条件だった。この条件に合いそうなサクラが’オカメ’という園芸品種だ。イギリスの桜研究家イングラムカンヒザクラとマメザクラを交配して作出。名前は日本のオカメに由来している。濃いめのピンク色の一重咲きで、花が下を向いているのが特徴だ。早咲きで2月下旬から3月上旬ころが花期である。ある種苗会社のウェブで、オカメ桜の苗木を販売しているのを見つけ、どんなサクラなのかをネットで調べると、東海道線の小田原の一つか二つ先にある根府川という所が、オカメ桜の名所であることがわかった。YuoTubeに根府川のオカメ桜が咲く風景と音楽を組み合わせた動画があったので見てみると、なぜか涙が出てきたので驚いた。あわくけぶる春の海とオカメ桜、のどかな山里の風景が音楽に乗って流れる映像だが、なんで涙が出てくるのだろう。もしかしたら、平和な春をこの映像に見たのかもしれない。いつかあったが今はない春があると思ったのかもしれない。自分のことながら、自分の気持ちがよくわからない。ただ、涙が流れただけかも・・・・・・・
 この映像の中のオカメ桜はとても魅力的だった。下向きの濃いめのピンクの愛らしい花。細めの枝がスーッと斜め上にのびやかに伸びて、枝ぶりは素直だ。ソメイヨシノのようなはなやかさはない。この木の下で花見の宴を開くより、ゆっくり散策しながら愛でたいサクラだ。東京では新宿御苑に一本だけこのサクラがあることもネットで知った。根府川はすぐには無理でも新宿御苑ならこの春でも行けそう。その前に’オカメ’を一本、植えようか。どうしようか。