寒雀

母の命日なのでお墓参りに行く途中、葉を落した冬木立ちの枝に雀の一家がとまり、
丸くふくらんだ雀が木の葉ように見えた。
寒さで羽をふくらませた雀を、「寒雀」と呼ぶそうだ。
このことを7年前に亡くなった親友から聞いて知った。
彼女は自らが主宰する句会で、他の俳人たちと定期的に俳句を詠んでいて、わたしも数回誘われた。
だが俳句に自信がなかったので、ことわった。
いま思うと残念なことをした。
友のいる句会に出席する機会はもう二度とないのだから。
誘われた句会の季題が「寒雀」で、友だちが寒雀とはどういうものか説明してくれた。
そのとき、都会でよく見かける雀も、季節によって、いろいろな表情を見せるのだなと思った。
句会には出なかったが、冬の雀を見て、確かに羽がふくらみ、ころころした様子のかわいらしい姿に感心したのを覚えている。

友が詠んだ俳句を一句、紹介したい。

枯れ庭のはずむ毬なり寒雀

わたしのつたない句も。

7年過ぎて友を偲ぶ日寒雀