いやしの水辺

家からほど近い、愛犬レオの散歩コースに小さな川(もとは用水路)がある。
昔はあまり整備されていなくて、
タクシーの運転手さんはドブ川と呼んでいたこともある。
だが川岸に石を敷いて、水生植物を植えたり、岸部も石積みにするなど、手を加えて、
いろいろな生き物が生息する、いやしの水辺へと変身した。
生き物といってもよく見かけるのは、冬の間はカルガモの群れとメタボな鯉、数匹の緋鯉くらい。
夏は小さな魚が泳ぐ姿も見られるし、青大将が草むらに休んでいたりする。
夏から秋にかけてはトンボが飛び、水面にはアメンボウが泳ぐ。
その水辺に、昨日のことだが、渡り鳥のマガモが一羽だけ訪れた。
鮮やかな緑色や黄色に彩られ、通年で見かけるカルガモより一段と派手な外見だ。
ふつう、渡り鳥は群れで行動するはずだがなんで一羽だけ?
橋の上からじっと見ているわたしなど、ぜんぜん気にかけることなく、のそのそと歩いている。
体調不良で群れからドロップアウトしたのだろうか。
だが羽はつやつやときれいで健康なように見えるし、まだ若い鳥のようにも見える。
レオはほとんど歩かないので、わたしはかなり長い間、マガモに目が釘付けになっていた。
そこに、郵便局で用事をすましたひとりの女性が同じように川をのぞき込む。
が、その女性は他の鳥を探していた。
去年の12月にこの橋の近くで、カワセミを見かけたそうだ。
えっ、カワセミ
そういえば、だいぶ前にわたしも同じ場所でカワセミを見かけたのだ。
今もここにいるということを知って、うれしい驚きだった。
カワセミは見かけも美しいし、小魚を捕るときのやり方がスリリングで見ていてわくわくする。
わたしは別にバードウオッチングが趣味ではないが、カワセミは特別な鳥。
水辺があるとはいえ、こんな住宅街の一角にやってくるなんて大歓迎だ。

また、カワセミにこの川で会えるかもしれないと思うと、散歩の楽しみがひとつ増えた。


昨日、水辺に訪れたマガモ。今日も同じ場所にいた

2005年の11月に、ほぼ同じ場所で撮ったカワセミ