昨日は称名寺、金沢文庫から鎌倉へ

 梅雨の晴れ間の水曜日。

大学時代の友だちやその妹さんと合流して、日帰りの旅を楽しんだ。 

 シーサイドライン新杉田駅で、浜松からやって来た友らと落ち合い、シーサイドラインに乗り、海の公園南口駅で降りた。ここから歩いて称名寺へ。大きな池と池にかかった赤い太鼓橋が印象的なお寺である。

 友だちは称名寺ブラタモリという番組で紹介されていたのを見て、行きたくなったと言う。友だちの妹さんは京急線金沢八景駅近くの横浜市立大学を卒業していて、昔を思い出す旅でもあった。称名寺金沢文庫金沢八景は同じエリアにある。

 称名寺は無料で入れる公園みたいな感じで、犬の散歩に訪れる人がお寺を訪ねて来る人より多かった。金沢(かねざわ)北条氏の菩提寺である。

 池には錦鯉と亀が泳ぎ、大きな灰色の鷺が一羽いた。ちょうど嘴に銀色の小さな魚をくわえて、呑み込むところを見ることができた。

 称名寺の広い敷地と短いトンネルとつながった金沢文庫に行った。鎌倉幕府の年表を見ると、三代目の将軍までは源家が務め、四代目からは北条家ではなく、藤原とか別の家名の将軍となっている。たぶん、京都の朝廷との力関係から来るのだろう。歴史の知識が乏しく、あまりあてにならない推測である。

 金沢文庫はもともと北条氏の個人的な図書館ということだが、現存はしていなくて、現在の金沢文庫の建物は跡地ではないかと推測される場所に博物館の機能を持つものとして建てられた。

 1~2階の展示室を回ったが、少し前に皮膚病を発症した妹さんは、抗アレルギーやかゆみ止めの薬を飲んでいても痒みが抑えられず、館内のベンチで後半は休んでいた。

 金沢文庫の建物を出て、歩いて京急線金沢文庫駅へ。受付の方に聞いた話よりも駅は遠く感じた。陽ざしが強くなった街をときどき道を聞きつつ歩いた。

 金沢文庫駅より京急線金沢八景駅へ。JR横須賀線に乗り換えて金沢八景駅から鎌倉駅へ移動した。

 鎌倉駅の駅ビル内にある和食屋さんでランチをとった。ここは鎌倉に来る時よく寄る店でわたしがすすめた。このあたり、近くに漁港がいくつかあり、新鮮な魚が味わえる。

 昼食を早々に終えて、駅ビル1階でそれぞれの土産を買った。わたしは自宅用に山芋のたまり醤油漬けを買った。

 鶴が岡八幡宮へと段かずらが続く若宮大路に出て、鳩サブレ―の本店に入った。土産用に鳩サブレ―を二包み買った。

 さらに若宮大路の段かづらに上がって歩み、鶴岡八幡宮に参拝した。実朝が公暁にふい打ちで斬殺された大銀杏の跡を見た。巨大な切り株が残っている、この銀杏の陰で実朝の一行が来るのを待ち伏せしていたという説がある。

 参拝したあとは鶴岡八幡宮の境内を右手に曲がり、鎌倉街道に出て、ひたすら歩いた。坂道が続き、日差しが強く、ばてかけたので美術館のロビーで一服した。地図を確かめ、この街道を歩き続けると建長寺があるとわかり、ここをめざすことにした。

 さらに坂を上り、下り坂になってほどなく建長寺を示す標識が見えた。広い境内をゆったりと参拝した。樹齢750年ほどの大木があったが名前を忘れた。調べればすぐわかるのでのちほど。あちこちに蓮を植えた大きな水がめが置かれ、夕暮れのひかりに反応したのか、あわい桃色の花を咲かせている。

 いちばん奥には広い方丈があり、木の回廊にはベンチが置かれ、池のある庭園をこころゆくまで眺められる。ここで土産物など荷物を置いて、しばらくぼうとした。次はどこに行こうか友だちと妹さんが調べてくれた。明月院円覚寺に行こうということになり、わたしは明月院をリクエストした。

 建長寺を出て鎌倉街道を少し歩くと明月院の入り口が見えた。ここから小川沿いを少し歩くが左右の民家にも紫陽花が植えられ、明月院へのプロムナードとなっている。

 小さな門の横にある受付で参拝の料金を支払い、境内へ。このあたりからきれいなブルーのあじさいがこんもりとあふれるように咲いている。明月院あじさいの多くが花の大きさがややこぶりの姫あじさいとのことだ。この愛らしい形、静かな落ちつたブルーがとてもこころにひびく。花には触らないようにと、札がかけられているがさわらずに道を歩くのは難しい、通路にあふれるように咲いているので。

 明月院の山門を出て、しばらく歩くと右手に小さな店があったので、ひと休みしようと入った。だが店の雰囲気が微妙で、いらっしゃいのひとこともなく、三人がかけられる席がもなく、しかたなくふたつに分かれて座った。

 いろりのまわりの席に座っていた客が帰ったのでそちらに移動して、三人で座ることができた、ただ、わたしたちが店にいる間の半分くらいは、店を訪れた人(お客さんではない)となにやら話をしている。談笑ではなく、なにか話し合う雰囲気で、立ったままの話しだ。店主はわたしたちが注文したものを作り、運んできたがそれ以外は話をしている。店に他のお客さんが来ても気が付かないか無視している。

 それほどいごごちがよくない店で、ここ数年で入った店の中でもいごこち悪さベスト1である。

 だが友だちや妹さんとの大切な日帰り旅行の締めくくりなので、不満はおさえてなるべくいいほうへと考えた。

 代金をお支払いしたあと、JR北鎌倉駅までの道順を店主に聞くと、とても丁寧にこたえてくれたので、だいぶ印象がよくなった。店に入ったタイミングがよくなかったようだ。友だちは店の従業員を募集して応じた人と、条件が合わず話し合っていたのだろうかと推測していた。そんな雰囲気の話し合いなのである。

 店を出て、JR北鎌倉駅まではすぐで、電車もすぐ来た。横浜方向に行く横須賀線である。三人で乗って、二人は大船で乗り換える。JR東海道線で小田原に出て、ここで新幹線のこだまに乗り換えて帰るのである。

 話が弾み乗り換えの大船であわてて降りた友だちと妹さん。ホームでわたしが乗った電車が発つのを待っていたが、いいよと手で合図して先に行ってもらった。

 楽しい一日をありがとう!

称名寺の池と橋

本堂寄りは平らな橋になっている

建長寺の庭園の池

方丈の建物の向こうに庭園がある

水がめに植えられて蓮の花

山門をくぐると階段があり、明月院の高低差のある境内をあじさいが彩る

あじさいの清らかなブルーをお地蔵さまが捧げている

あじさいの色の前掛けをして

ねむの花も咲いている