映画「プリンセス・ダイアナ」を見に行く

 朝から雨が降り、秋を超えて冬が訪れたような一日だった。こんな日は家にいるより外に出かけようと思った。

 少し前から見に行きたいと思っていた、ドキュメンタリー映画「プリンセス・ダイアナ」を渋谷に見に行った。映画館の名前はル・シネマ・ブンカムラみたいな名前だったと思う。表示が違うかもしれない。アルファベットだったっけ。

 渋谷駅から東急デパート本店のほうに歩き、BUNKAMURAがある。その中の施設のひとつに映画館がある。 

 当日券を窓口で買って1時半からの上映を見た。全座席の半分よりも少し多いくらいの人が入っていた。圧迫感が座席に座っていられる。

 すべて、プリンセス・ダイアナが生きていた当時に撮られた映像をつなぎ合わせて、映画が作られている。出だしはフランス・パリでの事故だが実に印象的な映像だった。事故から次はチャールズの婚約者候補として注目されたときの映像に移り、ふっくらとしたダイアナの伏し目がちな表情が目に焼き付けられる。

 結婚前から実はチャールズには別の女性がいるということをダイアナは知っていたということをどこかで聞いたことがあるが、これについてはあまり触れていない。

 結婚式の華やかさ、ふたりには何の影も見えず完璧な幸せを具現化した映像に見えるが実はそうでなかったという、残酷な現実がいまとなっては幸せのかたちを痛々しく見せる。

 ダイアナ妃は過食症だったという事だが映像のプリンセス・ダイアナは(特に結婚中の映像)とても細く、やせすぎのように見える。インドをチャールズ皇太子と公式訪問のするが、ふたりは現地でまったく別行動をする。見せかけだけでも仲良く見せようという気持ちもなくなった時期だ。タージ・マハルをダイアナはひとりで案内の人とともにめぐるのだが、ひとりでベンチかどこかに座る映像が長々と続く。最初、前から、次に後姿が捉えられていて、この映像は長く胸に残りそうだ。

 チャールズとカミラ夫人の電話を盗聴したテープの肉声の会話は笑っちゃうくらい衝撃的で、ダイアナ妃がテレビ局だったろうか、インタビューに答える肉声とその内容は衝撃と言うより痛々しかった。

 これはわたしがダイアナ妃のどちらかと言うと味方だから、かもしれない。どちらの肩を持つかで、この映画の見方がわかれそうだ。どちらにも傾かない、中立の人が見ればまた違った受け止め方ができるだろう。

 見る人のそれぞれの人生観や、二人に対する気持ちの持ち方で、この映画はいろいろな見方ができ、受け止め方ができるだろう。

 離婚後のプリンセス・ダイアナは伏し目がちだった若い頃のイメージを一新して、自立した大人の女性として耀いているように見えた。もちろん、こころに受けた傷がすべて癒えたわけではないが、新しい世界に飛び立つように見えた。

 そんなダイアナを交通事故が襲うわけだが、世界中の注目を浴びたこと自体が彼女を死に追いやったとも言えるだろう。

 結婚を解消してから、ボランティア活動で様々な地域を訪れるダイアナの姿はとてもチャーミングだった。

 

 映画を見終えて、まだ雨が降り続く渋谷を駅まで歩き、電車に乗って二子玉川に移動した。駅前のいつも行くカフェに入ってしばらく過ごし、家に帰った。