10数年ぶりに秋葉原へ

秋葉原といえば電気街のイメージオンリーだった頃、電車や車で電気製品を買いに行ったものだが、
ここ14〜5年くらい足が遠のいていた。
今日は映画の試写会に行った。
塚本晋也監督の『KOTOKO』という映画で、coccoが主役の琴子を演じ、監督の塚本晋也も彼女に結婚をせまる男、田中を演じている。
1人で息子の大二郎を育てる琴子は、世界がふたつに見える心の病に悩まされる。
例えば、大二郎を抱っこして外出すると、赤ちゃんを見てかわいいと声をかけてくれる、やさしい女の人と、
危害を加えようとする女の人が二人いるように見えてしまうのだ。
現実はそうでなくても、琴子には暴力をふるわれる恐怖がいつもつきまとい、パニックに陥ってしまう。
大二郎に対する愛情、守ろうとする気持ちが強すぎるからなのだが、このことがかえって琴子から愛する息子を遠ざけてしまう。
周囲から見ると、自分のこどもを虐待しているように見えて、母と子は引き離され、大二郎は沖縄に住む姉のもとに預けられる。
しばらく時がたち、琴子は息子に会いに行く許可が出る。
琴子が沖縄を訪ねる場面は、母と子のつかのまの再会が美しく描かれる。
太陽がサンサンと降り注ぐ、緑豊かな森の近く、ブーゲンビリヤの花がからまる民家に息子は姉の家族たちとおだやかに暮らす。
ここでは世界はひとつに見え、息子にありったけの愛情を注ぐ。たくさんのおもちゃ、菓子類などを次から次へと出して。
沖縄に向かうリムジンバスの途中で、歌をくちずさんでいた琴子。
この歌声に魅せられた田中という男が結婚を申し込み、いっしょに暮らすようになるが、
ふたりの生活は最悪。琴子は男も自分も傷つけ、血まみれになってしまい、
息子が戻ってくることが決まったその日に、男は忽然といなくなる。
その息子もまた、琴子から離れざるをえなくなるのだが・・・・・・・・・
世界がふたつに見える恐怖を抱えて琴子は生きていく。
それは歌があるから。息子が自分をふつうの母として見てくれるから。
琴子のゆがんだ世界をなだめるような、美しい幻想的な映像がちりばめられ、それが救い。

ただ、暴力的なシーンや泣き叫ぶシーンには少し辟易した。

秋葉原からの帰り、有楽町に寄った。今日は歳末ジャンボ宝くじの最終販売日で買う人が行列を作っていた。