今日（金曜日）は朝方は曇りだったがお昼近くにあってから陽射しが出る。昨夜雨が降ったので、湿った地面が熱せられいっそう蒸し暑くなった。
陽射しが出る少し前に庭に出て紫陽花の剪定の続きをした。大株の紫陽花１本、大株の額紫陽花１本、小さな紫陽花の２本。
ついでに隣家との境に伸びた雑木の枝を切った。切った枝の始末は後回しにして、暑くなってきたので家に入った。
混み合っている枝を切ると、風通しが少し良くなったような気がする。庭の樹々もわたしも庭を通り過ぎる風を心地よく感じた。
昨日は今日ほど陽射しはなく、雨も降らず、蒸し暑い一日だった。昼食後、地下鉄日比谷線に乗って、六本木駅から歩き、国立新劇場に行った。六本木駅からコンコースをかなり歩くが、トレンドのファッションを装った女性たちの姿を楽しむことができた。
ワンピース姿の女性が目を引いた。
国立新劇場の１階で「ウィーン・モダン クリムト、エゴン・シーレ世紀末への道」展が開かれ、ゆったりと鑑賞することができた。この前のクリムト展の混雑ぶりとはだいぶ違う。
展示会の内容を調べることなく来たので、会場に入って、そうかこういう展示内容かと少しづつわかる感じだ。１９世紀半ばの皇帝ヨーゼフ２世が行なったウィーン大改革を中心にその前後のウィーンの文化的な歴史を絵画や写真、家具や食器などの生活用品、その他で展示している。
ウィーンのリンク通りはヨーゼフ二世が市街を囲む城壁のようなもの取り壊すことで生まれ、ウィーンに飛躍的な発展をもたらした。
例えば公共の建築物は、ルルネッサンスやバロック、ロココなど歴史的な建築様式を再現したものが多かったが１９世紀後半ごろから歴史的様式を離れた独自の設計による建築物が提案され、実際に建てられるようになった。近代建築の先駆者、オットー・ワグナーが制作した建築計画書が、実際に建てられた郵便貯金局の設計図、建造物の写真などが展示されている。郵便貯金局は当時としては画期的な設計で建物内部の空間がとても印象的だ。建築素材の組み合わせも斬新である。
わたしがいちばん観たかったのは、クリムトとエゴン・シーレの作品だったが、
絵画展というより、歴史のなかでふたりの芸術家が位置づけられ、その活動や才能が際立つように展示されている。
クリムトは作品を作る際に、数多くの線描を描いていてその線描の展示がおもしろかった。ほとんど女性のモデルを描いたもので、さまざまなポーズをさせて鉛筆で描いている。
ウィーンにあった歴史的な劇場を取り壊すとき、ヨーゼフ二世がクリムトに依頼した劇場とそこに集う人々を描いた絵も興味深い。百名以上の観客を描いているとのことだが一階から３～４階の桟敷席までその緻密な描き方に驚いた。
クリムトがよく着用した全身をおおうスモックが展示されていたがかなり背の高い恰幅のある男性だったようでこれもびっくり。
エゴン・シーレはクリムトより３０歳年下とのこと。彼は自分の線描に自負があるとのことだが、有名な自画像の迷いのない線、その力強さに見入った。
エゴン・シーレの向日葵の絵も面白い。ゴッホとはまったく違うはこれもひとつの解釈というかすごいと思った。自分の部屋を描いた油絵はゴッホの同じく自室を描いた絵を思い起こさせた。ベッドの位置が同じで細長い部屋なのでも同じ。もちろん描き方や色の使い方まったく違うが、ゴッホの絵に触発されたのではないだろうかと思った。
他に画家の名前は忘れたが広く天井の高い、さまざまな装飾品が置かれた居間で孫と過ごす自分を描いた絵は、細密な水彩画で、質感まで表現され、水彩でここまで描けるのかと驚いた。
広く大きなアトリエを描いた水彩画もその描写力に驚かされた。
何が展示してあるのか知らずにでかけた展示会ではあったが、かえって先入観なしに展示に向きあえ、いろいろな発見があり、行ってよかったと思う。
展示会場で一枚だけクリムトの絵が撮影可能だったが、持って行った携帯では暗すぎて撮影できず残念。デジカメを持って行けばよかった。最近の展示会は限定で撮影できることが多い。
