歩数計、いつのまにか箱根へ

 陽射しがときどき出て、蒸し暑い一日。雨が降りそうで降らなかった。

 短歌雑誌に送る、7月末が締め切りの短歌8首が頭の隅に引っかかっていて、早く考えないと、と思いつつ違うことをついしてしまう。

 午前中は昨日電話をした友人のお母さまがこの七月に亡くなられたことを友人から聞いたので、ささやかな御香料を送るべく、手紙を書いた。

 郵便局に持って行き、重さを確かめて投函した後、散歩に出た。

 そんなに長く歩くつもりはなかったが古墳のある公園まで歩いてしまった。長い階段の下で少しためらったが上までのぼり、多摩川方向から吹く気持ちのいい風に心身ともにくつろいだ。樹高の高い木の間から多摩川のグラウンドで野球の練習をしている少年たちが見える。かけ声が風に乗ってやってくる。川の流れも眺められた。広場を一周して上ってきた階段を降りて帰路についた。

 歩くことで頭の動きが活性化するのだろうか。散歩中に短歌が詠めることが多い。あいにくメモ用紙や短歌手帳を持ってこなかったので、ほとんどの歌を忘れてしまったが、散歩の途中で見た風景を思い出せば短歌も思い出せそうな気がする。

 散歩に時間をとられ、昼食は2時半ごろと遅くなった。

 昼食後、いくつかの短歌をノートに記した。午前中に散歩で見た風景だけでなく、コンビニに行く途中で見た軽鴨の親子(親が一羽,こどもが10羽の大家族〉も歌の題材になった。

 遅めの昼食を消化するため、また歩きたい気持ちになり、こんどは買い物を兼ねて坂上の商店街へ。

 急な坂をのぼり、少し歩くと駅前へと続く商店街がある。ここにある魚屋さんはときどき足を運ぶ。鰹のたたきをひとつ買い、さらに先のお豆腐屋へ。5時に揚げたての揚げ出し豆腐を売り出すと書いてあるので、近くのお寺まで歩いて時間をつぶすことにした。お寺は4時半閉門とあり、開いてはいるが中にまだいる人が出るためのようだ。お寺のまわりを歩いて豆腐屋に戻った。

 この時歩きながら、スマホで自分宛てにメッセージを送った。詠んだ短歌を忘れないようにメッセージにして送信したのだ。5つほど送信した。これって結構いいかも、と思った。あとでノートに書き記せばいいわけで。

 揚げ出し豆腐を買い、家路へ。

 歩数計を見ると今日だけで一万三千歩あまり。積み重ねて東海道五十三次の箱根まで歩を進めたようだ。いつから歩数計をオンにしたか覚えてゐないので、何日かけてここまで来たかわからない。