今日は眠そうな顔をしていると言われた

 今年に入って特別支援学校に行くのは2回目。一回目は先週の木曜日に行った。新学期が始まり、三年生は卒業後の進路がほぼ決まっている時期だ。
 実習教育のひとつとして開いている校内のあるカフェに入り、顔なじみの知人や友だちと談話した。わたし以外の人は入れたての珈琲を、わたしはハーブティーを注文した。
 知人に「今日は眠たそうな顔をしている」と言われた。昨夜は6〜7時間眠っている。一度トイレに起きたがすぐまた眠りについた。ただ、昨日疲れがたまっているような感覚があったので眠っても疲れが取りきれず、それが顔に出ているのかとも思った。
 知人はしばらくたって、「眠そうな顔をしていると言われて内心怒っているんじゃないの?」と冗談めかして言った。怒るわけはないがわたしが不機嫌そうな顔をしていたのだろうか。素の顔がこんなんで申し訳ない。
 午後からは昨年末に予約した歯医者さんへ。坂道を上り最寄りの駅に出て電車で一つ目の駅だ、とても近い。駅までの坂道がなければ。
 治療は簡単に終わったが麻酔をかけたので唇の半分が麻痺したみたいになって、水を飲もうとしたらこぼれてしまった。2時間も立たないうちにいつのまにかもとに戻った。
 自由が丘で少し買い物をした。この歯科医院は老犬ももこがいたとき通い始め、ももこがいたとき月に4回ほど通ったこともあり、ここに来るとまだももこが家にいるような感覚になる。歯科医院で出て街で買い物をするのも、ももこがいたとき同じだ。ももこのことを考えつつ街を歩いた。
 この歯医者さんに来るたびにももこを思い出すだろう。家にももこがいるような感覚もずっと続くだろう。


 家に待つ犬をらねど犬ゐるやうに家路を急ぐ時雨るる街を

 時雨過ぎ底冷えの街ゆるみたり時雨が冷えを連れ去りしごと

 時雨とふ情けの水が底冷えの街の寒さを連れ去りゆきぬ

 てのひらに時雨のひとつぶ受け止めて新しき道ふと見えてくる

 時雨の街なにげに歩みとめるわれ行くべき道を探しあぐねて