姫リンゴの剪定

 涼しくて過ごしやすい。初秋のおだやかな土曜日。

 朝はほぼ毎日、近くの河畔をこころのなかの犬たちを誘って歩く。台風15号の雨で川が増水しが、川べりの半夏生が倒れ、上流から流れてきた大量の葉っぱや大小の枝、草などに埋まっていた。

 毎日見ていて、このままでは半夏生が枯れてもしかしたら来年はここから消えてしまうのではないかと思った。

 今日はなんとかしようと思い、長靴に履き替え、川べりに降りて半夏生に被さっている大量のゴミ(葉っぱや枝、枯れた草など)を取り除いた。枝をもろくなっているので簡単に手で折れる。細かい葉っぱや草はゴミ袋に入れ、折った枝は紐で束ねた。

 わが家の庭の手入れだけで大変なのに、まったく関係ない川のゴミまできれいにしてなんというおせっかいなやつと自分のことをののしりたくなるが、半夏生が好きなのでしかたない。ただ。おせっかいはなるべくしないようにしたい。

 45リットルのゴミ袋ふたつ、枯れ枝一束、半夏生に混じって勢力を拡大している雑草(名前はあるがあえて書かない)を切って束にしたものを、河畔のゴミ集積所に置いた。いくらなんでも自分の家に持って帰りたくないから。

 家に帰りしばらく休み、伸び放題の庭樹を眺めると少しは自分の家のこともしないと、という気持ちになった。

 てはじめに姫リンゴの木の枝を剪定した。この木は短く切っても春が来るとかならず花が咲く。とても愛らしい花なのでこの花が咲かなかったら春が寂しくなるほど。きっと来春も花が咲くよねと思いながら切った。

 姫リンゴの横に植えたライッラクの木の枝も切った。このライラックは父とわたしが、近くの花屋で1本づつ買って植えたもの。買ったときは紫と白の模様のきれいな花が咲いたがしばらくして、白い地味な花に変わった。たぶん、紫と白のライッラクの木を、花は地味だが丈夫なライッラクの木に接ぎ木したものではないかと思う。接ぎ木したきれいな花のライッラクは成長できず枯れてしまい、もとの根を持った木が生き残った。

 この地味な花のライッラクがもう1本あるが枝を切るのは後回しにした。

 わが庭に植えてある木の98%は父が植えたもの。わたしが植えたのはオカメ桜1本、沈丁花3本、椿2本、ピンク色の雪柳1本、ミニバラ1本、久留米ツツジ5本くらい。

 

いくたびの夏をいやされき川べりの半夏生が台風に倒る