予約した藤井常世の歌集を借りた

 1週間ほど前にいつも利用している図書館からメールがあり、予約した本が届いたと知らせてくれた。取り置き期間は明後日までなので、今日のうちにと思い、車で本を借りに行った。

 予約した本は平成25年10月に他界された歌人、藤井常世さんの歌集二冊。

 藤井さんは当時、明治神宮月次歌会の講師をされていて、わたしは平成25年9月に藤井さんが講師をされた歌会に出席した。だが短歌初心者のわたしは講師の方の名前をおぼえることもなく、藤井さんが明治神宮月次歌会で最後に講師を務められた歌会に出席していたことをずっと後になってそうなのかと思い至った。  

 わたしが短歌を始めたのは平成25年7月からだから、まだ3か月しかたっていなく短歌というものがどういうものかもわからず(今でもわからないといえばわからないが)、藤井常世さんの歌会もほとんど記憶に残っていない。

 ただ、今になって、ごく初心者のときにいちどだけ歌会に出席した藤井常世さんという歌人に興味を抱くようになり、歌集を読みたいという気持ちが強くなった。

 借りてきた歌集は『鳥打帽子』という生前最後の歌集と、『現代短歌文庫 藤井常世歌集』。藤井常世さんの歌集は東京23区の図書館にはほとんど蔵書がなく、唯一あったのが『鳥打帽子』である。他は国会図書館に蔵書のある歌集があるが、借りることはできず、最寄りの図書館内で閲覧ができるとのことで今回は予約しなかった。

 家に帰り、『鳥打帽子』を読み始めると、わたし自身との妙な共通点があっていよいよ興味をかきたてられた。

 東京の杉並区に善福寺公園というわりと大きな池のある公園があるが、若い頃、この池の近くに住んでいたことがある。この歌集にもこの公園のことが詠われている。「白鳥 一月、善福寺池に白鳥が飛来」というタイトルで7首を詠っている。他にも善福治公園を詠ったと思われる歌がいくつかあり、遠い昔ことだが公園で過ごした時間がよみがえってくるような気持ちになった。

 

 幼鳥もまじへて水にかがやける白鳥の群れ 群れにして孤独 藤井常世『鳥打帽子』

 

 あと偶然のことだが、しおからとんぼとむぎわらとんぼが同じ蜻蛉の雌雄であることをつい最近(半月ぐらい前)にインターネットで知ったのだが、同じことをこの歌集の中の歌で詠っているので驚いた。

 

しほからとむぎわらは蜻蛉の雌雄とぞ今知ることのあはれおもしろ 藤井常世『鳥打帽子』

 

同じことをつい最近知っても詠わなかった。こういうことも短歌になるのだなととても素直な気持ちになれた。

 他にも住宅地に現れた小熊を殺してしまう人間を憤る歌や、子熊を殺された母熊の気持ちを思いやる歌など、共感できる歌があった。

 ただ、藤井常世さんの歌はその内容や題材はもちろんそうだが歌い方にいっそうの魅力があると思う。

 藤井常世の歌の魅力をまずはこの一冊で味わい尽くしてみたい。

 

山の日の振替の日に数少なき登りし山に思いを馳せる

 

今は亡き友と登りし山ありて紅白の梅かぐわしく咲きき

 

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老犬ももことつながる日日草

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千日紅の横にキバナコスモスを植えた、もっと早く植えないといけなかったが遅くなってしまった

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花壇には紫蘇がこぼれ種でいっぱい生えた

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今日のお月さま、12日目くらいか

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