柿の絵を描く

 雨が降ったり陽射しが出たり曇ったり、不安定な一日。
 今年の庭の柿の木は豊作というほどではないが植木屋が木の上の方の柿を採ってくれたのでそれなりの量があった。
 柿をいちばん多く持って行ったのが植木屋で、残りを友だち二人とわたしとで分け合った。
 その友だちのひとりが午前中早い時間に、柿のムースを作ってひとつ持ってきてくれた。やわらかい柿色のムース。砂糖を入れずに柿の甘味だけとのこと。
 友だちが来たのは居間の炬燵の上に柿をふたつ置いて、絵を描こうと鉛筆を持ったときだった。偶然とはいえ柿重なりに少し驚いた。
 久しぶりに絵を描くためか、鉛筆スケッチを2回やり直した。鉛筆スケッチが出来上がり、ひと息つこうと友だちの柿のムースをいただいた。柿の甘味がほんのりと効いていてとてもおいしい。わが家の柿はこんなにも糖度が高いのだとあらためて実感した。
 昼食を早めにとった後、熟した柿がふたつあったので自分で柿ムースを作ってみた。皮をむいて種を取り、小さく切ってハンドミキサーでピューレ状にする。小鍋に牛乳をカップ1杯半ほど入れ、弱火であたためる。水でふやかしたゼラチンを70〜80℃くらいの牛乳に入れる。あまり熱いとゼラチンが固まらなくなるようだ。 
 ゼラチンを入れてとかした牛乳に柿のピューレを入れて、もう一度ハンドミキサーで混ぜる。きれいに混ざったらすぐカップに入れる。冷蔵庫で冷やし固める。さきほど一口味見したがおいしくできた。
 柿のムースを作った後、絵の続きを描いた。次郎柿だと思うが、柿を描くのはけっこう難しい。充実した実の盛り上がり具合というか。丸い線ではあるが力強い丸さで、ごつごつした感じもどこかにあって。
 久しぶりの絵を描いたせいか疲れた。目で見たことを手に持った鉛筆で描き、筆で色を重ねていく。目と手を連動させるのは大変な作業。絵を描き始めたときより、ものの見方が精緻になってきた。最初は見ているようで大雑把に見ていた。絵を描き続けて、少しづつものの見方が深くなった。もちろん、まだ途上である。こういう絵を描きたいという目標を追い求めるより、楽しみつつ自分のなかで満足できればいいと思う。

開きそむる白秋桜にとまりたる紋白蝶は花弁になりつ

赤と白ふたつの色の花たちが競いあひ引き立てあひて咲く

薔薇の葉にしずくが乗りてきらめけば空へ信号送るがごとし