夕方、父の命日の墓参り

 朝起きたときh雨も雪も降っていなかったがその後雪が降りだした。うっすらと積もるが夕方にはほとんどの雪がとけた。
 いつからの疲れがたまっていたのかわからないが午後になり、疲れを感じ炬燵に横になった。それでも疲れがとれず、自室に移動し敷いたままになっていた布団に横たわった。ガスストーブをつけて部屋をあたたかくして。
 布団に入ったときびっくりするほど冷たかった布団は自分の体温と電気あんかで温まり、居心地のいい場所になったが眠ることはなかった。さまざまなことに思いめぐらし、思いを巡らすことにあきた頃起きた。今日が父の命日であることを思い出したからだ。
 数日前に花を買って手向けてあるのでお参りだけに行った。寺に行く道は川沿いにあり、軽鴨のつがいが二組泳いでいた。しずかに泳ぐ軽鴨。水面に映る電線がリボンのように揺れる。街灯の柱がダリの絵のようにぐにゃっと曲がる。軽鴨は冷たい水を冷たいと感じないのだろうか。体温を持つ生き物はある程度の体温を保たないと生きていけないから、やはり冷たいと感じることがあるのだろう。
 この時期の墓地は閑散として花立の花もほとんどが枯れている。あまり豪華な花を手向けることはできないが百合の花を2本買った。まだつぼみの百合は時間をかけてゆっくり花開いてゆく。


 咲き初めの白梅まつ毛のやうな雄蕊にしずくをのせてをりたり

 地の下にいかほどの根を張りをらむ冬の銀杏は芽をひきしむる

 雪止みてしずくの光る梅の木に遠き日重ねしばしたたづむ


車のフロントガラスに薄く積もった雪がロールケーキのように
くるくる丸まって下に落ちた