「熊谷守一 生きる喜び」展を観に行く

 朝は冷え込みが厳しかった。最低気温はマイナス4,8℃で東京では48年ぶりの寒さだ。
 防寒をほどこした円高が棲む見ず水瓶も凍っていた。庭の中でも外の道路に近く寒さが厳しい場所に置いた水瓶には厚めの氷が張っていた。素手で氷を割り、外に出したが手が凍えた。
 花壇に積もった雪はまったく熔けていない。長い間雪におおわれても耐寒性のある植物は大丈夫なのだろうか。花壇の端のほうだけ雪がとけているが8割は固くなった雪がそのまま積もっている。
 昨年末から行こうと思ってた「熊谷守一 生きる喜び」展を観るためにでかけた。
 国立東京美術館で開催中だ。東西線竹橋駅B1から地上に上がり、お堀にかけられた橋を渡りすぐのところ。
 お堀の水に氷が張っている。熔けたところに水鳥が浮かんでいる。大白鳥が一羽と鴨の仲間だと思う小さな集団がいた。鴨のほうは盛んにえさをとっている。ぴよんと顔を水に突っ込み、お尻を突きだして魚を探しているのだろうか。つがいの鴨は水上に突きだしたお尻がぶつかったりして楽しげ。水の上を追いかけるように小さくくるくる回っているつがいもいる。水の輪がつがいのまわりにひろがり、見ている方も楽しくなってくる。
 展示会は若い外国人の姿も多かった。意外である。熊谷守一に興味を持つ外国人の若者がこれだけいるなんて。
 インターネットやテレビでしか見たことのない、見たかった絵がたくさん展示されていて心が躍った。
 東京芸術大学の前身の学校に入学中に描いた絵から展示され、熊谷守一の絵の変化が手に取るようにわかる。唱和30年ころからだろうか。赤い輪郭線を描く絵が目立ってきた。熊谷守一熊谷守一になるために絵を描いた。形のとりかたがどんどん単純化されて、その変化は見ていて気持ちを揺り動かされた。配色の妙にも感動した。海外の画家から影響を受けているという指摘もなるほどと思った。熊谷守一は身近な生き物や自然のたたずまいに眼差しを向けつつ、海外の画家たちの絵を通して外の世界にも目を向けていた。

 かき寄せし雪の小山に穴三つ小さき雪だるま中に鎮座す

 庭先に積まれし雪に児が入る小さなかまくら作られていたり

 振り返り上る坂から眺めたりただひたすらに白き富士山