B4の原稿用紙を求めて歩いた

 朝から小雨が降ったり止んだり。午前中のおそい時間には雨が止んで薄日も出た。もわっと湿気が立ち上るような空気感。
 小雨が降る時間に傘をさしたり閉じたりしながら、近くのコンビニを3店舗はしごした。B4サイズの原稿用紙を買い求めたくて。
 いちばん近いコンビニで二回買ったことがあるので置いてあると思い行ったがなかった。そこでしかたなくそれより少しだけ先のコンビニへ。ここにもなく、さらに先のコンビニに足を運んだがこの店にもなかった。どの店も文具類は品ぞろえが似ている。がっかりして雨が止んだ街を家に帰った。
 家に向かいながら一つのアイデアが浮かんだ。家にはA4の400字詰め原稿用紙があるのでこれをB4に拡大コピーすればよいと。
 さっそくいちばん近くのコンビニで試してみたら、B4の原稿用紙がきれいにコピー出来たので、もっと早く気づいてこうしていれば街を歩き回ることもなかったと思った。
 庭のすももは昨日よりいちだんと赤みが増してきたような気がする。ひよどりが騒いでいる。すももの隣に植えた桃も色づいてきた、まだ固そうな桃をかじった跡がある。鳥かもしれないしハクビシンかもしれない。ハクビシンは果物が好きらしい。桃やすももを食べに来たハクビシンと庭で鉢合わせをするのがいまのわたしのいちばんの恐怖。
 犬友だちより電話があり、入院中のお母様の話をした。あまりよい状態ではないようだ。もうひとつ、今年の3月にわが家に来てその後他の家に引き取られた保護犬の白ちゃんの話が出た。引きとった家族の事情でまた愛犬家(放浪している白ちゃんを保護して飼い主をさがしている人)の家に戻ってきたとのこと。
 電話を切った後しばらくたって、涙が出て涙が出て・・・・なんで泣いているのか自分でもよくわからず泣いた。台所に立って包丁を使いながら泣くのは久しぶり。
 昨年8月に旅立った老犬ももこのことを思い出し、また泣いた。ももこがこの家に来た夜のことが思い出され、あんなにわたしを信頼してくれたももこ。あの曇りない純粋な愛にわたしは応えることができたのだろうかと思い泣けた。
 昨日と今日と、わたしの生活からなくなったものはなく、加わったものもない。なのになんで心は変わるのだろうか。わたしは昨日より不幸にも幸せにもなっていないのに、同じ心で生きていればいいのに、なんでこんなに悲しいのだろう。


 石のうへさざ波立てる浅き瀬は砂地にかわり静まり流る

 すももの実赤さ増しきて静なりひよどりの騒ぐ声が響きわたる

 紅くなるすももを狙らふひよどりはわれの姿に遠巻きにさわぐ

 ある知らせにわがこころの砕かれてとめどなく涙あふるるはなぜ

 わが家に初めて来たる老犬の迷いなき愛 吾(あ)は応えられたか


昨日はすももを老犬ももこのお供えにしたが
今日は父母のために実をもいで仏壇にお供えした。
後回しになってしまい、申し訳ない