ヒヨドリが桃の実を食べ始めた

 日に日に色づいてきた庭の桃の実が今朝見たら、太い枝が実の重みを耐えきれなかったのか、枝元から裂けていた。
 裂けて皮一枚で木とつながっている枝は、手で軽く引っ張るだけで地面に落ちた。木を見まわし、桃の実の熟し具合を確認するといくつかの実が食われているのを発見した。最近、洋室の窓から桃の木を眺めているとヒヨドリが飛んでくることがあったが、桃の実が目当てだったようだ。
 桃色に色づき、甘い香りを放ち始めたとは言え、桃の実はまだ固い。もう少したったら食べごろと思っていたが、ヒヨドリに先を越された。固くても甘いのだろう、きっと。
 傍若無人なところがあるヒヨドリだが憎めない。頭の上の毛がそそけだっているのが愛嬌がある。寝起きのままで撫でつけていないヘアースタイルみたいで。
 老犬ももこは昨夜は比較的落ち着いていた方だった。夜中にトイレのため外に出した後、布団に横たわらせるとすぐには眠らず、咽喉の奥から妙な声を出し顔を上げたりしていたがももこの横に添い寝すると眠りについた。
 今日は朝ごはんと昼ご飯は食べたが、午後遅くなってから吐き気があり、食べたものを少し吐いた。午前中、動物病院に電話をし、ももこが毎日吐くようになったことを伝え、吐き止めの薬を取りに行った。その薬を砕いて粉にして蜂蜜と少量の水で混ぜ、シリンダで飲ませたがすぐ吐き戻してしまった。かえって薬を飲ませたことで吐き気を強くしてしまったようで、立て続けに吐いた。
 辛そうなので車でももこを動物病院に連れていき、吐き止めの注射をしてもらった。ももこは車に乗ったまま、獣医師さんが注射をしてくれたので助かった。
 家に帰ってきてからは吐き気はとまったが、食べることも飲むこともせず、ももこは眠っている。一回、おしっこのために外に出したが。
 ももこが朝食べたものを全部吐き戻して、静脈点滴を始めたのが5月9日から。あの頃は桃の実はまだピンポン玉大くらいで緑色だった。その実が熟すまでももこがこの家にいるだろうかと思い、涙した。こうして塾し始めた桃の実を見て2か月近くの時間が過ぎたことを思う。紫陽花の季節は終わりかけ、アガパンサスの花も種を作り始めた。鷺草の花芽がそろそろ顔を出す季節になった。