お向かいの家の愛犬が亡くなった

 朝ごはんを食べた老犬ももこを家の前の道路に連れ出し、しゃがんだ犬を支えていると、お向かいの奥さんが話しかけてきた。
 昨夜、愛犬が逝ってしまったと。涙で顔がゆがんでいた。最期の様子を少し伺ううちに奥さんは落ち着いてきた。慰めの言葉が出なかったが何か一言二言こちらが言いかけると、もういいんですと踵を返し、家の中に入った。
 こちらのことばを最後まで聞いていたら涙を抑えきれなくなってしまうからにちがいない。
 昨夜は9時か10時頃、ももこを外に出したとき、そのわんこも外に出ていた。ご主人が抱き抱えて戻ってくるところだった。そのわんこは後足を補助器具で持ち上げ、前足だけで歩いているのだが前足が動かなくなったとご主人が言っていた。玄関前に降ろされたわんこはぐったりと横たわっていた。その姿が目に焼き付いている。家族と共に病気と闘い、力尽きた姿だった。
 今日の午後、わんこの亡骸を迎えに来た車があり、家族そろって見送っていた。家を出ていく愛犬に対して、さよならと手を振っていた。
 それを見て、柴犬レオの最後の別れを思い出した。家の前を出たレオを載せた車をずっと見送った。真っすぐの道を行き、行き止まりを左折するまで。
 お向かいの家の奥さんもそのようにして見送っていた。

 わが家のももこは不安定な状態が続いている。多分、腎機能は徐々に悪化しているにちがいない。今日は朝ごはんを思がけない食欲を見せて食べた。お昼ごはんもまあまあの感じでぜんぶ食べた。ただ、その後、どこか落ち着かなかった。いつもなら食後は眠ることが多いのだが、今日の午後はほとんど起きていたようだ。横になったまま、どこか落ち着かない様子だった。手足をばたつかせたり、顔を上げたり、一時は歯ぎしりもした。
 ももこがこういう状態のときに友だちから電話があった。話している時も、ももこの様子が気になり、手足をばたつかせて起きたいようなそぶりを見せたので、友だちに犬が落ち着いてからこちらからかけ直すと言って電話を切った。ももこを玄関先で30分ほど膝枕で横たわらせ、からだをなでた。落ち着いたように見えたので家に入り、ももこを寝かせ、また電話をした。今度は30分くらい話し、ももこが手足を動かし始めたので話を切り上げた。
 ももこはおしっこをしたかったようで、外で3〜4回おしっこをした。今日の午後のももこは何となくこちらを不安にさせるところがある。いつも食事中に起こすことが多い歯ぎしりだが、横になっている時に歯ぎしりをしたこともそうだ。吐き気があるのではないかと思えて。