雨の金曜日、家でゆっくり

 朝の冷え込は弱かった。氷点下の気温を体験すると、2〜3度でも寒さがやわらいだと感じる。
 老犬ももこは雨が降っていることもあり、あまり歩かないが、昨日に続き一区画の散歩をした。家の前の道路を行ったり来たりだけよりいいと思った。
 居間でテレビを見ていると、天皇皇后両陛下がフィリピンにある日本人戦没者慰霊碑にお花を供えられた。日本から持って行かれた白菊の花束をそれぞれ一つずつ手にされ、慰霊碑の前の台の上に置かれた。どんな華やかな花より白い菊の清冽な美しさに打たれた。日本という四季のある国に咲く菊の花の香りが画面を超えてこちらに届くようだった。

祖国より白菊の花訪ねきて戦(いくさ)に没す霊魂(たましい)なぐさむ

 両陛下が献花されるお姿を拝見しながら、異国に散った日本兵たちの苦しみ、生きて日本に帰れないという絶望と恐怖を想像しようとしたが、想像が及ばないことを知った。

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