老犬ももこの友だち

 老犬ももこがわが家にやってきてから二か月あまり。
 散歩の途中でいろいろなわんこに出会うが、その中に同じような老犬の女の子がいる。13歳の柴犬で、腸が動かなくなり食べたものを吐いてしまう症状が出て1週間動物病院に入院したという。病気になる前は長い散歩をい日に2回していたが、病後は獣医師のアドバイスで短い散歩を3回するようにしている。ももこは推定年齢12歳だが、この13歳の柴犬より歩き方もおぼつかなく歩く長さも短い。どう見ても1〜2歳年上のようだ。
 道で会ってもどちらもうれしいという態度を示すわけではないが、なんとなくお互いを受け入れているようである。そのわんことももこが並んで歩く姿にそういう気持ちの通じ合いを感じる。
 この柴犬に親しみを感じたのは、年齢が(ももこと)同じくらいということと、病み上がりでがんばっているということがあったが、ある事情を飼い主さんから聞いて親しみが増した。ももこと同じように飼い主側の事情で生活する環境の変化を体験しているのだ。
 老犬になって、今まで慣れ親しんだ家族と別れるのは、きっとかなりの心のダメージとなっているのではないか。もちろん、現在は安心できる環境に落ち着いているにしても、である。ももこは前の飼い主さんに〈どういう事情があるにしても)結果的に見捨てられた。このわんこは、飼い主さんと死別してしてしまい、その娘さんの家に引き取られることになった。事情は違っても、傷ついた気持ちを考えるとどこか似通った体験をしているように思え、親しみが増したのである。


お昼頃、トイレのために外に出た後、裏庭でくつろぐ
木陰になって、風がここちよい
そばで蚊取り線香をたいている