千日紅の花を描く

 朝からどんよりとした空模様でときどき小雨が降る。部屋の掃除の仕上げをした後、明日わが家に遊びに来ることになっている友人のひとりに電話した。明日が楽しみだねという軽い気持ちで、待ち合わせの時間の確認を兼ねて電話したのだが、電話の向こうの友人の声が歯切れが悪く、明日は来れそうもないことがわかった。
 同居しているお母様が体調を崩し、あまり長い間家を開けることができないとのこと。友人は一日前までは元気そうだった母親の急変にどうしていいかわからないような状態だ。自分の力で寝起きができないため、抱き起こしているので腰を痛めたようだ。
 今回は残念だけれどお母様のそばにいてあげて、無理をしないように気をつけてねと電話を切った。
 今日は明日会うことになっている友人たちと共通の友人の命日である。亡くなった友を偲び、明日来る友人への歓迎の気持ちを花に託したいと思い、車で花を買いに行った。家に帰り、すぐ玄関に置いてある花器に活けた。カラブランカと、名前のわからない小花。カスミソウの一種かもしれない。大きな百合の花と小さな花、どちらも白い花である。
 午後遅くからは日が射したので、花壇に咲いている千日紅をスケッチした。満開の千日紅は花の時期のピークを過ぎている。紅葉した葉もちらほら。千日紅は花もいいが、紅葉した葉も風情があって好きだ。終わりに向かいつつある花と紅葉してくる葉っぱを晩秋まで長く楽しみたい。

 夕方には青空が広がった。買い物の帰り、柴犬レオの友だち犬2頭に会った。どちらも16歳を超えている。男の子のほうは、自分で立ち上がれなくなり、抱き上げて地面に下ろしてもらい、前足と後足の付け根に帯状の布を巻いて、飼い主さんが引き上げて立ち上がらせている。前足は力が入るが、後ろ足はまったく力が入らず、ぶらんとした感じでも持ち上げられている。それでも前足はなんとか踏みしめようと力が入っている。ガリガリに痩せた身体でがんばっている。飼い主さんのご夫婦はわが子同然なので、どんな状態になってもこの子の世話をするだろう。
 もう一頭は女の子で、お座りの状態から何とか自分の力で立ち上がれるし、ゆっくりとではあるが真っすぐ歩くこともできる。ただ、血液検査で炎症反応が強く出ていて、ときどき高熱を出す。レントゲン検査で肺に何かがあるのはわかるが、詳しい検査は高齢犬なのでしないことに決めたとのこと。可愛らしい顔を見ていると切なくなった。体調が悪い時は一晩中眠らないことがあるそうだ。老犬が眠れない夜をどんな気持で過ごすのだろうと思うと、可哀そうでたまらない。飼い主さんは、愛犬がおだやかな顔で眠っているととても安心するという。この気持ちは痛いほどわかる。 


 千日紅の花の色はマゼンタとウルトラマリンをほぼ同量で作った
 葉っぱの色はイエローとブルーを混ぜて作った
 イエロー8、ブルー2くらいの割合
 イエローとウルトラマリンを混ぜて作った色(緑)も少し使った
 影は緑に黒を少し混ぜた
 葉っぱの紅葉の部分はバーミリオンとマゼンタを混ぜた


夕方の空


テンダーピンクというダリア
重なりの多い花びらが透き通るようなピンク色のグラデーションに染まり、
この秋最高の美しさ


テンダーピンク、横顔もきれい