敬老の日、台風が来た

 台風18号は朝7時半ごろ、東海の沿岸に接近し、もう少しで上陸しそうだ。京都府滋賀県福井県などに河川が危険水域に達した地域、すでに氾濫した地域などがあり、すでに大きな被害を及ぼしている。
 台風が来ると思い出すのは、父母がいた頃、よく近くの多摩川の水域が上がり、堤防まで川の幅がひろがり、濁流の多摩川を柴犬レオと眺めたことだ。若い頃のレオは濁流うずまく多摩川に無謀にも入ってしまい、悲鳴に近い声でレオを呼び戻したことがあった。
 老いた父母は台風が近づいてもあまり関心がなく、わたしひとりで雨戸を閉めて固定したり、植木鉢を避難させたりなど、忙しく動いた。父は(そんなにしなくて)大丈夫だよと暢気だった。思えば父母がいた頃、風の強い台風が首都圏を直撃することなく、どちらかというと雨が降る台風が多かった。
 ところが、父が亡くなったその年(2011年)の秋、風の強い台風が東京をもろに直撃し、こどもの時以来といってもいいほど、風のこわさを体験した。葉っぱを生い茂らせ柿の実をつけた老木の柿の木が強風にすべての幹、枝をしならせ、もみくちゃになり、その光景を見ると、倒れるのではないかと恐怖を感じた。お勝手口の扉も3か所で施錠しているのに、風圧で引っ張られ、がたがた激しい音をたてた。わたしは部屋から部屋へと見て回り、風が強い間は落ち着けなかったが柴犬レオはいっこうに動じることなく、眠っていた。わたしはときどきレオの方を見ながら、はらはらしていた。
 風が去った後、庭に出ると梅の古木の幹が引きちぎられていた。激しく揺り動かされていた柿の木の根元の地面に地割れができていて、根元から揺さぶられてことを知った。
 午前8時前に愛知県豊橋市付近に台風18号が上陸したようだ。

 昨年(2012年)も強い風の台風が首都圏に来たことをおぼえているが、それほどの脅威は感じなかった。台風が通り過ぎるコースにより、風の強さがだいぶ違うようだ。今日はどうなるだろうか。

午前11時33分。断続的に強風が吹き荒れる。おさまったかと思うとゴオ―と風がやってくる。裏庭にそのままにしておいた植木鉢が倒れている。駐車場や花壇の周辺の植木鉢がどうなっているか心配になった。
 裏庭の庭木(柿の木や桃の木、梅の木など)のしなり具合を見ると、強風のピークは過ぎたように思うがまだ安心はできない。庭に出て様子を見てみたいがもう少し後にしよう。
強風は11時半を境に、弱まってきた。お昼過ぎに外に出ると、近所の人たちが外に出てきて、犬の散歩をしている人も見え、気持ちは同じなんだなと思った。多摩川の土手まで歩いた。川は思ったほど水かさが増していなかったが、茶色の濁流が流れていた。

 温暖化の影響なのか、雨の降り方や台風の風の強さなどが変わってきたように思える。いままでの経験が通用しないようになったのではないか。河川の氾濫や土砂崩れ、突風などの被害を受けられた方、一日も早い回復を願っています。お亡くなりになった方にお悔やみ申し上げます。わが家の近くにも一級河川があり、他人事とは思えない気持ちがあります。


台風一過、燃えるようなオレンジ色の夕焼け雲がひろがったが
写真を撮るのが遅れたため、こんな感じの空になった
風がおさまった夕方になると、外に出て買いものなどに行く人が多く、
知人や近所の人と立ち話をした
台風のため、家の中に閉じ込められていたとき
柴犬レオのことを考えたりして不安定な気持ちになったが
人と話すことで少し落ち着いた


月も出た