久しぶりに犬友だちと散歩

 朝から晴れて気温があがった。淡い青の春の空に白い薄布のような雲がたなびいている。
 今日はゆっくりと庭の花を楽しむことができた。家にいると庭の樹々や花たちが家族のように思えてくるから不思議だ。いっしょに2018年の春を生きている同志のような気持ちもある。
 明日の歌会のために5首の選歌と提出する2首の歌を決めなければいけない。ただ、前の歌会に先生が歩けないという理由で休まれたことが心配になり、歌会の仲間になにか情報が入っていないか電話したがあいにくの留守。意を決して先生に直接電話をさしあげたら元気そうな声で電話で出てくださり、明日は行けるとのこと。入院もありという話だったがなんとか小康を保っているようなので安心した。
 歌会に先生が来られることがわかり、明日の準備もやる気が出てきた。だが今回のみなさんの歌は全体的にレベルが下がっているように思え、4首しか選べない。あと何回か読み返してあと1首を選びたい。選んだ歌はどうして選んだかを歌会で述べるのでいい加減には選べない。
 夕方近く、老犬ももことよく散歩をした犬友だちに電話して、夕方の犬の散歩をいっしょにすることにした。友だちの愛犬である柴犬は3月初めに15歳になった。家の周りの短い散歩だが友だちとも話したいし、犬にも久しぶりに会いたい。
 友だちの家の前でなかなか動こうとしない犬と合流し、30分以上かけてゆっくりと歩いた。数百メートルの距離。柴犬レオや老犬ももこの晩年を思い出す。ももこの場合はこの家に来たときすでに晩年だったが。
 友だちは昨年春、難病といわれる病気がみつかり、入院・手術をしてそれからは薬を飲み、定期的に検査を受けている。友だちは一見元気そうで安心したが弱気なことばをちらっと口にしたので胸をつかれた。
 友だちの家までいっしょに歩き、そこで別れてわたしはひとりで散歩の続きをした。桜がきれいな多摩川の河原へ。土手には花大根や西洋からし菜の花が咲き、桜は5分咲から8分咲まで木によって違う。まだまだ花が楽しめそうだ。庭では見かけない野鳥の声がして、飛ぶ姿を見ることができた。鶯のさえずりも聞こえた。猛禽類の一種と思われる鳥が大きなつばさをひろげ、ゆうゆうと大空を偵察飛行している。グライダーのような羽根のひろげ方。
 多摩川の河原のどこを見ても柴犬レオの思い出が重なる。思い出のある風景と思い出のない風景がある不思議。思い出のある風景は思い出抜きには見ることができない。無数の見えない映像が幾重にも重なっている多摩川の河原。

いちめんの河原の緑に花大根のうすむらさき風に揺れをリ

鶯の声ひびかせる竹藪に多摩川の水沿いて豊かなり

病持つ友の弱気のことば聞き別れて後に長く尾を引く

わが家の花たち