運転免許の更新に行く

 前に免許を更新してから5年たった。2週間ほど前にハガキが届き、早めに行こうと思っていた。
 5年前はちょうど母の葬儀が終わった頃、免許更新を知らせるハガキが届き、母と同じ日に他界した叔母の葬儀を終えた翌日、近くの警察署に車で行った。
 ところが、誕生日の前後一か月が更新期間だが、わたしは数日早く行ってしまった。担当の係員にそのことを指摘されてはじめて気付き、その日は更新手続きが出来なかった。
 5年前は母と叔母の葬儀が続き、気が張っていた。二人の葬儀を終えた後、ぽっかりとあいた時間、空虚な気持に、何かをして気を紛らわせたくなり、免許更新にでかけた。それが叔母の葬儀の翌日だった(これは日記を見てわかった)。
 5年後のわたしは、そのときよりはだいぶ精神的にも落ち着いている。あのときは身の置き所がなかった。どこにいても、自分がいるところでない気がしていた。父やレオには悪いが、母のいない家はわたしにとってそこに居ることが辛い場所だった。でも父やレオのことはどんなに落ち込んでも世話をするのは自分しかないという自覚があった。
 いまのわたしは、老犬レオのことが気がかりだが、自分のいる場所はここだという安定感がある。この家で暮らすことを楽しんでいる。
 免許更新をきっかけに5年の歳月をふりかえった一日だった。
 免許更新そのものも5年前と違って、驚くほどスムーズにすすんだ。手続きをした後、30分の講義がすぐ始まり、ぜんぶ入れても30分余り。
 帰り、墓参用の花を買い、映画のDVDを2枚レンタルした。
 老犬レオは、まだ日がさしてあたたかい庭に面した部屋で気持ちよさそうに寝ていた。玄関に通じるドアを閉めておいてよかった。

今日は日中、3月中旬の暖かさ
玄関脇の紅梅が1〜2輪咲いた
この紅梅は一昨年までは大晦日ころから咲き始めた
昨年は今年と同じくらいの開花だった


 一輪だけ咲いた庭の蝋梅の香りを確かめた。梅の香りとはまったく違う、清冽な早春の薫り。好きだと思った。