父のネクタイ

 いつも立ち寄らせていただいているブログに、ネクタイ一本で作ったポシェットが画像で紹介されていた。
 これを見て、父がたくさんのネクタイを残したことを思い出し、洋服ダンスを久しぶりに開けた。父の匂いがかすかの漂う。煙草の匂いだ。
 さっそくネクタイをぜんぶ座敷に並べて、本数を数えてみた。100本あるかなと思っていたが90本だった。細いもの、太いもの、ドット模様、ストライプ、花柄、馬に乗った人と犬の狩りの風景をちらしたもの、西陣織のもの、盛夏用のさらっとした透け感のあるもの・・・・・・・父の好みと思えないものもあったので、頂戴したものがあるのでは、と思った。
 インターネットで検索すると、ネクタイ製のポシェットの作り方はいろいろあったが、見ているうちにハードルが高そうに思えてきた。手作りは、枕カバー、クッションカバーなど直線縫いのものしかやらないし、写真付きでていねいに解説した作り方を見ても、頭の中に入らない。
 試しにひとつ作ってみたいが・・・・・・・。
 父が残したネクタイを形見分けしようにも、ネクタイをする人がほとんどいなく、さしあげてもかえって迷惑だろうし、かといって破棄するのは抵抗があった。
 何か使えるものにリフォームできれば、気持ち的にも納得できるのだが。

 こんな短歌をつくってみました。

90本のネクタイ残し91歳でわが父は逝きにけり
ネクタイに煙草の匂いし長かった父の公僕人生を想う
 
 父はリタイアした後も87歳くらいまで外出するときは必ず背広とネクタイを着用していた。仕事着であり、外出着だった。ブルゾンなどを着るようになったのはわたしに連れられて通院するようになってから。88歳くらいからだ。
 父の棺にネクタイを一本入れた。ゴールデンレトリバー柄の、父が生前、着用したとは思えないものだったが、あまり仕事用のネクタイは入れたくなかった。

 
ネクタイの一部を撮影した
父が愛用したとは思えない色柄

 今日はいまのところ平穏無事な一日である。昨夜はの老犬レオは珍しく夜中の12時ころ寝付き、そのまま朝10時半まで寝ていた。同じ部屋で寝ているわたしはおかげで久しぶりに6時間も一度も起きることなく眠れた。
 レオが起きてから庭や家の前の道路に出たが、自分では絶対出られないような隣家との境目にある隙間に一度入ったことを除けば、びっくりするようなこともない。
 ただ、歩いていてもよく段差や縁石につまづいてころぶようになり、起き上がるのも前より時間がかかるような気がする。とくに目が覚めてからすぐはそうだ。時間がたってやっとエンジンがかかると、こんどは興奮状態になり、歩き回るようになる。
夜の散歩は夕方起きてから時間がたっていたので、比較的元気で今日の散歩の中でいちばん歩いた。商店街でジョギング(ウォーキング?)をしていた某有名男優に声をかけられた(ハウジングメーカーのCMが印象的,あとshall we ダンス?とか)。
「ほほう、かなりの年だな。いくつですか?」「15歳と少しです。」「うちのと同じだな」「柴犬ですか?」「そう」
 レオを見る目が優しかった。同じくらいの年の柴犬が家にいるからかも。