どうしてこうなるのかな

 残暑厳しい一日だった。午後の空は太陽が照りつけ、雲ひとつなく、そのことが視覚的に暑さを倍加させていた。
 老犬レオが起きたのは10時半ころ。空には雲がたくさん浮かんでいて時折、太陽の光がさえぎられる裏庭を最初、歩いていた。わたしは駐車場に落花した夾竹桃を掃き集め、きれいにしていた。
 途中、様子を見に行くと、レオの様子が変!歩くのがおぼつかない様子。どうしたんだろうとよく見ると、首輪に剪定した長い枝(レオの体長より長い)がはさまっていた。しかも、その枝は首輪を通り、胸から腹、後ろ足の股を越している!1,5センチくらいの枝が支柱のようにレオを支えているというか、つっかい棒になって、これは歩きにくいだろう。
 首輪はねじれた感じになっていたが、首輪をはずし、なんとか枝を引き抜いた。
 庭の通路以外は20センチくらい盛り土をして、花木などを植えているがそこに剪定した枝を10本くらいころがしておいた。その枝がなんで首輪に入ったのか。しかも全身に枝が突き抜けてしまったのか。
 レオが枝の先になにかにつまづき倒れ、起き上がるとき、首輪に枝がはさまり、レオは前へ前へと進むので、どんどん枝が入っていたのだろうか。
 こういうことがあるので、レオから長い間、目を離せない。
 
 午後は親子ともどもエアコンの効いた部屋で昼寝をした。お互いにエアコンの風があたるところは好まないので、レオは風があたる場所から左に、わたしは右にわかれて横になった。わたしは浜辺に打ち上げられた魚のように眠った。いちど、レオが起きてがたがたさせるので、トイレのために外に出したが。こんなに昼寝するのはひさしぶりで、いくらでも眠れそうだった。夕方に目覚める前、夢を見た。広い丘陵のような庭に、たくさんの草花や球根を植え終わり、家に入ると、父母が居間の低いテーブルの前に座って、なにか縫物をしている。ふたりは手を休めずに、なんやら話している。仲がいいね、とわたしが父母に言うと、父が何かことばを返し、目が覚めた。
 あまり眠ってばかりいるわたしを心配して、父母が様子を見に来たのだろうか。父は縫物などしたことがないし、二人が座る位置が生前とは左右が逆だったのが変だった。


切り戻して咲いた鉢植えの現代バラ’スブニール・ド・アンネフランク’


 夕方の散歩ではちょっとおもしろいことがあった。
 知り合いの男の子(小学生低学年)が母親といっしょに歩いてきた。
 レオをさわりたがり、いいですかと聞いてきたので、許可。おそるおそる背中をなでた。
 「わんこは学校に行くの?」と質問された。いまどき珍しい。小学生低学年でもすごく大人っぽくてなんでも知っている感じの子が多い、こんな質問をする子はあまりいない。
 「行かないよ、いつも夏休みみたいなの」
 こんな質問もした。「この犬、いつ死ぬの?」どひゃー。一瞬ドキッとしたがあまりにもストレートなので笑ってしまった。母親は困っている。最近、お墓参りに行ってから、興味を持っているらしい。
 でも「僕のうちにとまりにおいでよ」とレオに向かって言った。なぜかレオが気に入ったようだ。おとなしく見え、動きがのろいので安心してさわれるのがいいのだろう。レオは家の中ではぜんぜん違うよ。2時間も3時間もあちこち歩き回るし、おとなしくなんかないよ。