マインドコントロール

 テレビを見ていたら、性格的にマインドコントロールに陥りやすい人などはなく、誰にでも可能性があるというようなことを言っていた。テレビで解説していたその道の専門家も、マインドコントロールに陥るのではないかと思ったことがあると言っていた。この発言を聞いて、はたと思い当ることがあった。昨年2月に父が他界した後、自分自身ではそんなにひどく落ち込んでいるとは思っていなかった。3年近くかけて、ゆっくりと衰えていき、6か月の入院生活の後、家で2カ月近く在宅医療を受けての最後だったので、突然のことではなく、気持ちの準備もできていたと思っていたのだ。だが、自分でもわからなかったが思った以上のダメージを受けたようだ。その後、誰かに頼りたいという気持ちが自分でも意識しないままに芽生えたようだ。この気持ちが底流にあるために、なんであんなことにはまり込んだのだろうということがあった。ここでは具体的に書かないが、自分では冷静に判断して、これがベストと思っていたふしがある。相手がわたしを思い通りに動かそうとしているのではなく、こちらが相手の言う通りにやるのがいちばんいいことだと思うようになったのである。
 だが3ヶ月くらいで、目が覚めた。まったく孤立していたのではなく、友人や近所の人たち、知人との接点、交流があったことがよかった。また、現実的に自分にとってデメリットをもたらすことが起こり、これは続けられないと思ったのもよかった。ここではじめて冷静になれたのである。だが依存したい気持から完全に抜け出すにはもう少し時間がかかった・・・・・・・。自分があのとき、マインドコントロールされそうな状態に陥っていたことさえ、現在に至るまでまったく気付かなかった。誰でもそうなる可能性があるという言葉が、気付かせてくれた。

 昨日降った雪は、あたたかい日差しにすぐ融けてしまい、庭はどろんこ状態になった。庭の片隅に設けた野鳥のえさ台に、りんごとバードケーキ(小麦粉、砂糖、サラダ脂、オリーブオイルをまぜて団子状にしたもの)をセッティングして、鳥の訪れを待ったが今日はあまり来なかったようだ。はじめてえさが残ってしまった。春が来たからだろうか。春になると、花が咲き、蜜を吸うこともできるし、虫たちも動き始め、鳥のえさも増えるから、人間が作ったえさ台に頼らなくてもいいのかもしれない。野鳥のえさ台の作り方などを紹介したサイトには、えさ台を設けるのは野鳥のえさが少ない冬だけにするようにと書いてある。えづけすると、野鳥が自然の中で生き抜くために不可欠な防衛心が衰えるそうだ。
 えさ台を設けてまだ数日しかたっていないが、これからあたたかい日が続くし、撤去しようかとどうか迷っている。また、12月になったら、作ればいい。


えさ台近くまで来て、用心深くまわりの気配をさぐっている様子のヒヨドリ。部屋からじっと見ている人間の視線を感知するのかもしれない。野鳥の用心深さには感動さえ覚える。