半夏生の花

 

 

 午前中の早い時間は曇りで雨はまだ降らなかった。
 近くの川べりに行くと半夏生の葉が白く色を変えて、イヌタデに似た形の白い穂状の花が咲いていた。5月の半ば頃は若緑の葉が生えそろった状態だった。その若緑の葉に白い模様が描かれた。 
 白い葉の半夏生は柴犬レオの最後の日々と重なり、今年も命日が近づいてきたと思う。
 わたしが川をのぞいていると、ゴールデンレトリバーを散歩させている男性も足を止めて同じようにのぞき込んだ。短い会話をかわし、半夏生についてわたしは短く語った。萌えいづるときは緑色の葉がこの時期は白い模様に彩られると。犬がわたしにじゃれてきたので首やあごのあたりをなでであげた。大きな体から愛情があふれるような心根の優しい犬だ。
 まだ雨が降らない時間に自宅用の梅を収穫した。梅干し用の熟した梅だ。今週の金曜日に近所の人に助けてもらい梅を収穫することになっているのだが、梅が熟し過ぎてどんどん落ちるのでなんかかわいそうになった。早く採って梅干しとして生かしてやった方がいいと思った。落ちた梅で梅ジャムを作るがあまり傷ついた梅は捨ててしまうから。
 梅を採っている間に雨が降り始めた。梅の枝や葉に守られてそんなに濡れはしなかったが、衣服や髪がしっとりとした。降りが強くなったので切り上げた。 
 採った梅は2キログラムに少し足りない。水洗いをするとき、よく見ると傷があるものも多い。きれいな梅を選んで1キログラムを梅干し用にした。明日、雨が止んだ時間があったらまた収穫しよう。

われがゐる部屋だけ灯る雨の日はとりわけ寂しく一日が過ぎる

十年前逝きたる母は病床に雨?雨?と問ひてのち意識失せき

雨のなか実梅をもげばカポーティの『草の竪琴』思ひ出されて