青空がきれいな日曜日、明治神宮歌会へ

 駅前の黄葉した銀杏並木が青空に映え、スマホを向ける人がちらほら。わたしも駅舎をくぐる前に足をとめ今歩いてきた並木道を振り返った。晴れ渡る空は青色が深くあざやかだった。銀杏黄葉はいまがいちばんきれいなとき。冬の前の短い輝きの時だ。
 JR原宿駅前で降り、明治神宮の鳥居をくぐり参道の小石を敷きつめた道を歩いた。常緑の樟が多いが、カエデなど紅葉する木々もたくさん植えられている。海外からの観光客が紅葉するカエデの写真を撮っている。
 11月の月次歌会の講師は森山晴美先生。当座は『背』。12時50分までに提出する。ぎりぎりまで迷って1首出したがこれはよかった。母親の背中を詠った歌が多かったがわたしも1首詠み、そちらを落とした。提出した歌は

 夕闇を背に負ひ眺む対岸の高層ビルはひかりの砦

 先生は2句切れの歌をおっしゃった。「眺む」は終止形である。「対岸の」に続けるなら「眺むる」と連体形にする。「ひかりの砦」がいいと言った。辺りが暗くなるにつれて光を増す高層ビルは、この時間に働く人たちを思い起こさせると。

 出さなかった歌は

 母の背のすぼまりたるにTシャツの眠る子猫がさみしく見へき

 母の日に贈ったTシャツは後ろに小さな猫がプリントしてあり、食が細り痩せてきた母の背中を後ろから見た時、その猫がさびしそうな、はかなそうな感じに見えた。

 森山先生が出された11月の兼題「林檎」に献詠した歌が選外佳作になった。

 セザンヌが描きしりんご果樹園にふる秋雨を記憶しゐるや