午後は友だちと長電話

 連休明け最初の土曜日は朝から雨。早朝は小雨だったがだんだん本格的な雨になった。たたきつけるような強い雨も降った。
 失意ということばは強すぎるがそんな思いもある。
 ここんところ犬関係の友だちとかかわりあうことが多く、少し離れたい思いもある。誤解を恐れずに言えば犬は好きだが愛犬家は嫌いである。わたしは犬が大好きだが愛犬家にはなりたくない。柴犬レオがいた頃、特にレオが若い頃のわたしはかなり嫌な愛犬家だった。いま思うとわがことながら馬鹿やろうと自分に悪態をつきたいくらいだ。視野が狭かった、自分の犬のことだけに夢中になっていた。いまはそうではないと自信を持って言えないが自分に対して批判的な目を持っていたい思う。
 長いつきあい、三十年を超えたつきあいの友だちに電話をしたくなった。
 すると不思議なことに向こうから電話があった。子機から友だちの声を聞いたときはこころの中に明かりが灯った。こちらから電話しようと思っていたと告げ、1時間半くらい話した。お互いに話したいことがそんなにあるわけではないが次から次へと話がつながっていく。時にはまったく違う話に場面転換する。「どうしている?元気?」という友のことば「失意というほどではないが・・・・」と言葉を濁した。友だちはそれ以上突っ込んでこなかったが電話の最後のほうで、わたしの失意に触れてきた。
 白い犬のことを話した。また犬が飼いたくなりある犬に会ったが里親の候補者が多く選ばれなかったと。犬に会ったときわたしには縁がないなと思ったのでそんなに強い失望を感じたわけではないが、理性をこえたところで寂しさを感じたとも話した。○○さんにぴったりの犬に会えるわよと励まされた。この言葉を自分に言い聞かせていたが友だちの口から聞くとやはりあたたかく強い。

 朝早く小雨のときに散歩に行った。

 咲き終わる藤の葉陰を赤きばら隣りに植ゑるが二輪いろどる

 忘れな草忘れぬ思ひ永えいと種をこぼして庭に咲き継ぐ

 丸子川上に歩けばさかのぼる時間のごとし犬をりし日へ

 水玉の模様明るき雨傘が寂しき思い慰ぶするごとし

 さりげなく手にする雨傘ふりむけば愛犬をりし去年(こぞ)はなきなり

 背を丸め雨傘のした重き荷もつをみな何思ひ家路つくらむ

 降る雨の重みにふるへるあぢさゐの葉を眺めつつ居間にて過ごす

 愛犬のいない雨の土曜日よ今日はじめてと言わねどさびし