風が強い一日、夕方疲れが出た

 朝の空気は冷たかったが時間がすすむにつれてあたたかい空気が流れ込んできた。お昼近くになって急にあたたかくなった。厚いコートがじゃまになるような桜が咲くころの陽気だ。
 午前中早い時間は、父の七回忌のために御布施と搭婆料を用意した。墨をすって封筒に名前を書いた。本番で書く前に何回か練習した。父母が他界してから何回か回忌の法要を迎えているがだんだん負担になってきた。2012年年末に父の三回忌と母の七回忌を合わせて行ったがあのときも別々にする気力体力が自分にはないと考えたからだった。あれから4年間、回忌の法要はなかったがその間に柴犬レオが亡くなり、老犬ももこを家に迎えそのももこも死んだ。
 お昼前思い立って車で自由が丘まで行き、いくつかの買い物をした。ほしいものがあり迷って買わなかったがやはりほしくなった。そうなるとすぐほしくなりでかけた。
 お昼を少し過ぎた頃家に戻り、それからは家でのんびりした。夕方近くになり、疲れを感じて自室に布団をひき横になった、眠るわけでもなく、ただ横になっただけ。あれこれ思いを巡らしたが。しばらくたち、5時を知らせるいつもの曲が流れると気持ちが吹っ切れたように起き上がろうと思った。二匹の愛犬の写真に声をかけた。心配しているような気がしたから。

 庭の木が風に吹かれて揺れたれば海藻のやうにわれも揺らげり

 陽のあたる部屋でまどろむ真昼間に誰の見るテレビか声聞こえる

 獅子頭の髪のごとし蘭の葉が風に煽られ乱るるさまは

 騒音のなく隣の家こわさるるガラスの割る音耳にすれど

 白いシートかぶさるる家手品師の手のひらいちまいで消されるや