朝の冷え込みは強くなく、日中は陽射しがぽかぽか。風が冷たく、日が当たらないところは冷え冷えとしていた。
いつもなら、老犬ももこが過ごす外廊下も陽射しが降りそそぎ、しばらくいると暑いくらい。ももこはお日さまがいっぱいの時間に、ケージの中で眠っているのでわたしが廊下に出て、日光浴を楽しんだ。柿の木が葉を落とし、陽射しがたっぷりの季節、この廊下で父が柴犬レオと昼寝をしていたことを思い出した。ああいうときがあったのだと思い、無性になつかしかった。
陽射しに誘われるように庭に出て、桃の木やスモモの木の下に芽を出したクロッカスを見に行った。地面から顔を出したいくつもの細い小さな緑色の芽がつやつやと光っている。白いクロッカスは2つ咲いていた。これらのクロッカスの球根は10年以上前に植えたものもある。小さな球根だがたくましくこの庭に根付いてくれた。
ももこのおだやかな顔を見ると、こんなに性格のいい犬がなんで前の飼い主に見捨てられたのだろうと思う。人間にとって扱いやすい性格なのに、そういうももこが辛い境遇を体験したことが哀しくてたまらなくなる。わたしはももこのいちばんの理解者になって、惜しみなく愛情を注ぎたい。