老犬ももこのことで悩んでいること

 朝は青空がのぞいていたが日中は雲が厚くたれこめている。湿度が高いが風は涼しい。
 土曜、日曜、月曜と三夜にわたって、ももこの生活パターンに変化があり、どうしたものかと悩んでいる。
 今までは、早くて夜6時半ごろ、遅くて8時半ごろに最後の散歩をした後、ももこは眠ることが多く、そのまま朝まで起きなかった(寝る場所を変えるために起き上がることはある)。ところがこの三夜は、いったん眠った後起きてトイレに行きたい様子を示すようになり、ちょうどこちらがそろそろ眠ろうかなという時間にももこを外に連れていくことになった。
 ももこが起きるのは10時半ごろが二晩、昨夜は111時半ごろだった。10時半だとこちらは眠りにつく前である。昨夜の11時半は眠っているときで、ももこがのそっと起き上がったときに目が覚めた。爪が床に引っかかる音が聞こえ、部屋と外の廊下を歩き回っていることがわかった。こうして歩き回る爪の音を聞くと、晩年の柴犬レオのことが思い出され、にわかに不安になった。レオもこの時間やもっと遅い時間に起きて、部屋の中を歩き回り、部屋の隅に入り込んで出られなくなったことがよくあった。レオの歩き方はふつうではなかったように記憶している。
 昨夜のももこは部屋の隅に入ろうとしたが、わたしが起きて止め、外に行く用意をして連れ出した。おしっこがたまっていたのである。今までなら夜は起きないけれど、ベッドの上におもらしをした。ほとんど毎朝、ベッドの上に敷いたバスタオルとトイレシートが濡れていた。ここ数日は眠っているときのおもらしが少なくなり、昨夜はなかった。
 外で用をたしたももこと家に戻り、とっさにももこを居間の続きの広縁に閉じ込めようとした。扉を閉めたが可哀そうな気がして開けた。さらに」わたしが眠る部屋から閉め出そうと廊下にももこを置いたままドアを閉めたがこれも可哀そうになり、結局、いつもと同じように同じ部屋で眠った。それからももこはすぐ眠りにつき、朝6時過ぎまで眠っていた。 
 こちらは一度目が覚めたのでなかなか眠れなく、いろいろなことを考えた。このように毎晩、ももこに起こされたり、起きていても眠りにつこうとするときに外に出なければいけない事態が続くとわたしの体力が持たないだろうなということをいちばん考えた。
 父親と柴犬レオの介護をして最期を看取った経験から、夜眠れなくなることがどれほど体力を奪い、体調を崩すかわかっている。これだけは避けたいなと思った。レオの時よりわたしも何歳か年をとっているし、レオのときのようにはもうできない。それは自分でもわかっている。
 どうすればいいだろう。いくつかの方法を考えた。ひとつは別々の部屋で眠ること。ももこにトイレシートを9枚ほど敷いた広縁で眠ってもらえば、起きて用をたしたくなったらそこでしてもらえばいい。ももこはこの家に来てから一度も吠えたこと鳴いたことがないが、ひとりで眠るようになったら鳴くだろうか。
 一人で眠るより同じ部屋で眠りたいと思うだろうか。考えても仕方ないこともあれこれ考え、そのうちに眠ってしまった。


朝を迎えると、あれこれ考えたことの現実感が薄れていく。ももこと別々の部屋に眠ることもあれば、同じ部屋で眠ることもあるというように、どちらにしてもいいという幅をもたせることにした。こちらが疲れているときはももこには悪いけれど別の部屋にしたり、ももこの調子が悪そうなときは見守れるように同じ部屋で寝起きしたり。
 今日のももこは午後3時過ぎまでに3回外に出したが今のところおもらしをしないでいる。体調が少し良くなったのだろうか。

花壇で咲いている百日草
昨年咲いた花から種を採り、蒔いて育てたものだがひとつとして
同じ色、咲き方の花がないのがおもしろい

夕方近く老犬ももこ
後ろの部屋には9枚ものトイレシートが敷いてある
だんだん枚数が多くなった