落ち葉の絵を描き、午後は早稲田スコットホールギャラリーへ

 朝はそれほどでなかったが、だんだん本格的な雨になった。雨があまり降っていない時間に庭に出て、柿や桜の落ち葉を拾って歩いた。静かな柿の木から風もないのにいっせいに落ち葉が舞い降りた。それを見て涙が滲んだ。最近、涙もろくなった。テレビで高齢の白熊が亡くなったというニュースを見て号泣した。アフリカの大地を野生動物が歩いている映像を見ても、目が潤んでくる。
 柿の葉も桜の葉も、今が最高の美しさを誇っている。この美しさは長持ちしない。内側から光を放っているような葉の艶やかな色は時と共に褪せてくる。腰を下ろして一枚一枚葉っぱを手に取って、個性的でとりわけきれいな葉を選んだ。
 部屋に戻り、少したつと庭に面したガラス戸が曇り、木々の揺れ動きから風が強くなったのがわかった。再度外に出ると、生暖かい空気に包まれた。カラス戸が曇ったのは部屋より外の方が暖かくなったからだ。さきほどより柿の葉っぱが盛大に落ちた。続けて落ちる葉を見ていると、楽しそうに落葉しているようにも見えた。
 午後は柿の葉の絵を描いた。太い鉛筆で下描き、油性色鉛筆で彩色した。
 柿の葉の絵を2枚描いてから、急いで支度して外出。今日から第三回東京の近代建築公募展の展示が始まり、5時からオープニングパーティが開催された。会場に友人の顔を発見してちょっとびっくり。今回は数人にしか知らせなかったので。友だちも絵を応募したと聞いて、もっとびっくり。昨年、早稲田スコットホールギャラリーに友だちは見に来てくれたのだが、名簿に名前を書いたので、公募展の案内が届いたそうだ。今度は描いてみようと思い、中学校以来の水彩画を描いたという。道玄坂上の古い店舗を描いた絵は、独特な色遣いで他の絵とはだいぶ違う、友だちらしくていいなと思った。
 今回、飯倉交差点近くの教会の絵を「緑の屋根の教会」とタイトルをつけて応募したが、うれしいことに森本賞という賞をいただいた。この公募展の呼びかけ人のひとりである美術家の森本氏が個人的にいいと思った作品に与える賞で、のびのびとした色遣いを褒めていただいた。マチスのような、という言葉も。
 この教会の絵を何枚も何枚も描いて試行錯誤したことがこういう形で評価されて、よかった。

(第3回東京の近代建築スケッチ公募展に出展の絵は、よろしければウェブサイトでご覧ください)



今日かいた柿の葉の絵の一枚
大きな柿の葉をほぼ原寸大で描いた
油性色鉛筆で色づけ