ソメイヨシノの力

新春らしい晴れやかな話題ではないが、今日は近くの用水路沿いに植えられた桜並木について。
並木といっても10本のソメイヨシノが植えられている、ささやかなもの。
そのうち、4本が半世紀以上の古木で、あとは樹齢30〜40年くらいの木である。
わたしが小学生の頃の写真にはその古木たちの若かりし頃が写っている。
枝張りも少なく、すーっと伸びた若木の姿である。
4本の古木は用水路の下流側に植えられているが、特にいちばん下流側の2本がごつごつした幹の太さや
ねじ曲がったような枝張りなど、風雪に耐えたという存在感がある。
ソメイヨシノは他の桜の木と比べ、寿命が短いと聞いたことがあるので、台風が来るとはらはらした感じで見ていたのである。
この用水路沿いの並木道は愛犬との散歩によく来るコースで、何百回、いや何千回となく歩いていると思うが、
今年になって初めて気づいたことがある。
さきほど書いた用水路の下流側に植えられた古木のソメイヨシノはなぜか、川の流れの上にはうように枝を伸ばしているが、
川に落ちないように設置されたガードレールの上を、その太い幹や枝が伸びていき、スチール製のパイプが下の方に
押し曲げられているのである。
なぜ、ガードレールを曲げるほどの強い力で、川の方に枝や幹が傾いたのだろうか。
多分、台風などの強風は、さえぎるものがない川の流れにそって強く吹くが、この辺りでは下流から上流へと風が向かうので、
風圧をまともに受ける下流側のソメイヨシノは、風を避けようとして、なるべく低く枝や幹を伸ばしたのではないだろうか。
その結果、ガードレールを押し曲げるほどの力が働いた。

桜の花、新緑、紅葉・・・・・と季節を追って変わっていく姿を見て楽しんでいるときには気づかなかったが、
葉をすべて落した冬木立ちになると、今まで見えなかったものが見えることもある。
これは桜の木だけではないと思うが、ちょっと驚きの発見だった。

ガードレールが下に押し曲げられている。用水路の対岸から撮った写真

下流側から並木のソメイヨシノを撮影