朝方、台風は静岡県沖を進んでいた。テレビを見ると東海道新幹線が不通になっていたが、台風一過の浜松市は晴れ間がひろがっていた。これから北上する台風の影響をテレビは伝えるが東京は雨脚が強くなりそうだった。
だが出かける時間にそんなに雨が降っていなければ出かけることにした。
9月はなかなか国会図書館に行く時間がとれなかった。今日こそ行こうと思った。
朝9時すぎ、小雨だったのでバス停まで歩き、バスに乗り最寄り駅へ。田園都市線直通の半蔵門線で永田町駅に行った。いつもと同じくらいの人出なので、台風はあまり外出しようという気持ちに影響を与えなかったようだ。
国会図書館は土曜日、いつもより人が多いがそれでもゆったりとしている、なにしろ広いから。
いつも座るエリアの席に座り、さっそく端末で本5冊と雑誌2冊の閲覧を申し込んだ。閲覧したい本のうち2冊は現在、閲覧できない状態であると表示された。これはデータ化の作業をしているから。1960~70年代に出版された本の閲覧を申し込むとほとんどがデータ化作業の最中である。
もう少し早く閲覧していれば(昨年あたりに)、実際の本を読むことができたので、とても惜しい気持ちがある。国会図書館では現物の本ではなく、端末の画面でデータとしても文字を読むことになる。どこか物足りない感じがある。
今日は閲覧請求できなかった本は鎌倉千和歌集『ゆふぐれの背にまたがりて』、三枝昂之・田島邦彦編『処女歌集の風景』(ながらみ書房1987)の2冊。
閲覧できたのは横山未来子『花の線画』、鎌倉千和の歌集(題名を忘れた)、岡井隆自選集『蒼穹の蜜』、森まゆみ著『樋口一葉の手紙教室』、他に岡井隆の評論集の5冊である。雑誌は「歌壇」9月号と『角川短歌』8月号。
もちろん、全部読み切ることはできないが『花の線画』は前ここに来た時読んだその続きを今日読んで読み切ることができた。誰も閲覧する人がいなかったので、わたしが読んだところにはさんだ栞のひもが同じところにはさんであった。今日は前の続きを読んだ。2回目を読み始めて少しで終えた。
岡井隆の蒼穹の蜜は自選集だけあっていい短歌が集められていて、作者の選んだ意図、自負が伝わってきてもっと読みたかったが時間がなかった。鎌倉千和の歌集は読んだがあまり乗れなかったので、途中でやめた。樋口一葉は面白かったが時間がなかった。
気持ちを残して国会図書館を後にして、電車で二子玉川に移動した。駅前のライズにあるいつも行くカフェでホットコーヒーとチョコレートケーキを楽しんだ。ラインのキープメモでかなりの数の短歌を作った。
今日は図書館で読んだ本からいいと思って抜き書きした短歌を紹介します。
若き欅の肩のあたりに向きあへり書庫より本ののぼり来る間を
横山未来子『花の線画』より
上の短歌はもしかしたら歌人が国会図書館を訪れたときの歌かなと思い、抜き書きした。
人が芝生に横たはる午後みづからの葉洩れ日のなか欅は立てり
薄紙は椅子にかかれり春の花を巻き締めてゐし疲れを残し
卯の花の咲き撓みゐるゆたかさよ誰もたれもが時をこぼせり
『花の線画』より
歌といふ傘をかかげてはなやかに今わたりゆく橋のかずかず