「ボストン美術館の至宝展」を観に行く

 昨日行こうと思っていた「ボストン美術館の至宝展」にでかけた。
 お昼前に家を出て、昼食は外で食べ、1時頃上野にある東京美術館に着いた。夏休み中なので電車の中はこども連れの家族が多かった。お盆休みを過ぎてから旅行に行こうという人が多いのを感じた。
 上野駅を降りると平日なのに人が多くてびっくり、やはりこども連れの人が多い。東京都美術館も思ったより入館者が多かった。
 古代エジプト美術から始まり、中国美術、日本美術、フランス絵画、アメリカ絵画、版画・写真、現代美術と続く。
 人の流れがゆっくりでエジプトだけでだいぶ時間がかかったので中国は割愛した。
 わたしがいちばん見たかったのは印象派後期印象派の作品を中心としたフランス絵画。ミレーの絵は一枚だけしか残っていない珍しい静物画で洋梨を描いたもの。洋梨の色を実に繊細に描ていて、ミレーが好きになった。果物を描いたセザンヌ静物画も一点あり、果物の絵を描く楽しさを語った彼のことばが良かった。果物は果樹園で見た日の出や雨の音、風の音を話しかけてくると。
 モネが「ルーアン聖堂 正面」は聖堂にあたる太陽の光だけを追って描いた絵だが、光だけに焦点を当てると抽象画に近くなると思った。写実というのはまんべんなく対象を見て描くことで、どこかポイントを絞って対象を見ると写実ではなくなる。
 フランス絵画の中でいちばん見たかったのはゴッホの絵で、ゴッホがアルルに移住してから親しくなった郵便配達人とその奥さんを描いた絵。「郵便配達人ジョゼフ・ルーラン」と「子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人」。輪郭をくっきりと描くゴッホ肖像画。夫人のスカートはさまざまな色が交じったきれいな緑色で筆のタッチとしわの線でからだを包む立体感を出している。
 アメリカ絵画ではジョージア・オキーフの絵が2点あり、彼女の実物の絵を見るのは始めてなので来てよかったと思った。「グレーの上のカラー・リリー」は花の絵だが抽象画に近い。
 版画・写真ではエドワード・ホッパーエッチングとアンセル・アダムズの写真がよかった。


 染井吉野の切り株に霜のやうなかび生れ梅雨のごとき8月